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新型コロナウイルスの感染者が、自宅内で一緒に生活しながら療養せざるを得ないとき――。日本建築学会が換気面の対応方法を公表した。ウィズコロナ時代の換気設計やインフルエンザなどの感染症対策のヒントとして、建て主にも伝えたい知識だ。

 新型コロナウイルスの一般的な感染防止策では、窓開けや換気設備の常時運転で換気量を増やすことなどが示されている。だが、換気量を増やすだけでは、汚染された空気が共用スペースや居室に流入する場合もある。

 実際、感染者がやむを得ず、自宅で家族と一緒に生活しながら療養する場合、住宅や住まい方で有効な工夫とは?――。日本建築学会の「換気・通風による感染対策WG」(以下、WG)は、家庭内感染リスクをより抑える対策として、室内を気圧差によって簡易的に「陰圧管理」する方法を公開している。既存住宅での実証実験を、東京理科大学の倉渕隆教授が監修し、東京工芸大学の山本佳嗣准教授が実施したうえで、WGがまとめた対策例だ。

 室内の空気をファンで強制的に排出すると、室内の気圧は低くなる。陰圧(負圧)の状態だ。また、空気は気圧の高い方から低い方に流れる。陰圧管理とは、こうした特性を用いて、清浄ゾーンから感染者のいる汚染ゾーンへと空気が一方向に流れるようする方法だ。医療施設などで導入されている〔図1〕。

〔図1〕病院では気圧差で気流を制御
〔図1〕病院では気圧差で気流を制御
病院が導入している気圧差で気流を制御する「陰圧管理」の方法。上流の清浄ゾーンから下流の汚染ゾーンへ一方向に空気が流れるようにして汚染空気の拡散を防ぐ(資料:日本建築学会「住宅における換気によるウイルス感染対策について」)
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 陰圧管理のポイントの1つ目は、健常者が過ごす清浄ゾーンと感染者が過ごす療養室ゾーンを明確に区画分けすることだ。住宅ではビニールカーテンなどで、中間に緩衝空間を設けて、2重に仕切る〔写真1〕。物の受け渡しや人の出入りの際、カーテンを片方ずつ開け閉めすることで、療養室ゾーンの陰圧状態が保てる。開け閉めが必要な箇所以外は、空気が漏れないようにテープで隙間を塞ぐ。

〔写真1〕2重のビニールカーテンゾーンを仕切る
療養室ゾーンと清浄ゾーンを2重のビニールカーテンで仕切っている様子。開け閉めが必要な箇所以外の隙間はできるだけ塞ぐ(写真:山本 佳嗣)
療養室ゾーンと清浄ゾーンを2重のビニールカーテンで仕切っている様子。開け閉めが必要な箇所以外の隙間はできるだけ塞ぐ(写真:山本 佳嗣)
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物の受け渡し方法。ビニールカーテンに挟まれた緩衝空間で行うことで療養室の陰圧を保つ(写真:山本 佳嗣)
物の受け渡し方法。ビニールカーテンに挟まれた緩衝空間で行うことで療養室の陰圧を保つ(写真:山本 佳嗣)
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 WGはさらに、住宅内にトイレが複数ある場合は、療養室ゾーンにトイレを組み込むことを優先的に求める。トイレが共用では、接触感染や飛沫感染のリスクが高まるからだ。