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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、家づくりの現場にも従来の“日常”を覆す大波が襲った。地域住宅会社や工務店など中小事業者にも、現場のヒト・モノの動きで大きな影響が既に顕在化している。どのような動きが生じているか、生の声から探ってみた。

 新型コロナウイルスの感染拡大が依然として収まらないなか、地域住宅会社や工務店の現場でも、入場時の検温や消毒用アルコールの常備、作業中のマスク着用といった基本的な対策は定着してきたようだ。

 「自分たちのリスク対策とともに、顧客や現場の近隣住民などに対してプロとしての意識の高さを示す狙いもある」(甲信越地方で新築を中心に手掛けるある工務店の支店長A氏)

 新築に比べるとリフォーム、特に顧客が住みながらのリフォームは、状況が一層シビアだ。「顧客から徹底した感染防止対策を求められるケースが少なくない。見える形でこうした対策に取り組んでいる」。首都圏でリフォーム会社を経営するB社長は、このように語る。

悩ましい「新たな現場様式」

 コロナ禍を受けて住宅生産団体連合会は、2020年5月21日に「住宅業界における感染予防ガイドライン」を公表した。「建設職人の現場への入退場及び検温結果を記録・保管」「仮設水道を整備し、石けん(必要に応じて手指の消毒施設及びペーパータオル)を設置」「十分な換気を行う(必要に応じて送風機等を利用)」などと、具体的な対策例を示した。7月16日には、熱中症対策や国が提供する「接触確認アプリ(COCOA)」の利用などの内容を追加した改訂版を公表している。

 同ガイドラインが掲げる対策は、事業規模や現場条件の違いを問わずすぐに導入できるものもあるが、中小事業者の住宅建設現場では現実的に困難なものも少なくない。

 住宅会社との仕事が多い建設技術コンサルタントのC氏は、「例えば入場者の検温は、朝の始業時に現場監督も現地にいる必要があるが、複数の担当現場を掛け持ちしていると現実的に難しい」と打ち明ける。マスクの着用なども自主性に任せるしかない面がある。

 感染防止対策は重要だが、一方で作業の効率が低下したり、新たな“手間”が増えたりする面があることは否定できない。だが工事価格は変わらない。積極的に取り組むか否かは事業者の意識次第となる。

 「近年は、記録写真の撮影や現場の清掃など、現場で職人に課される作業が増え続けてきた。さらに感染防止対策が加わることで、元請けとの関係次第では『割に合わない』と離れていく職人も出てくるのではないか」。C氏はこう懸念する。