ウイルスを含む飛沫が床に付着すると、日常生活の何気ない行動で家中に拡散する。床に座ったり、寝転がったりして体に移り、ダイニングやキッチンに持ち込まれるのだ。そうした「床のリスク」に対してユーザーの意識は高くない。専門家による最新の可視化実験を紹介する。
リビングの床には、人の口から出る飛沫に見立てた蛍光塗料が塗布されている。そこで、夫婦役の男女の被験者が洗濯物を畳んだりテレビを見たりした後、ダイニングで食事する。ブラックライトを当てると、床に塗布した蛍光塗料がキッチンやダイニングにも広がっていた〔写真1、2〕。
これは、リビングの床に付着した飛沫が家の中でどう動くのかを可視化した実験の様子だ。新型コロナウイルスに感染した場合、ウイルスは唾液に多く含まれている。日常生活の何気ない行動が原因で、ウイルスがリビングだけでなく、家中に拡散する様子が明らかになった。
実験は、感染制御学が専門の東邦大学看護学部の小林寅喆(いんてつ)教授が監修、朝日ウッドテック(大阪市)が実施し、カトウ光研(神奈川県伊勢原市)が撮影協力した。