「オールタイムリアルZEH」。これは、OMソーラー(浜松市)による造語で、電気を買わずに完全自給している状態を示す。ヒートポンプと太陽光パネルを併用した独自設備「OMX」に蓄電池を組み合わせ、災害などで停電した際に必要最低限の全館空調と給湯、家電設備の消費電力を賄う、同社の新しいシステム名にも使われている〔図1〕。
同社はこのシステムで、「オールタイムリアルZEHの状態になる時間帯を年間で80%に」という目標を掲げている。太陽光パネルの発電量で消費電力量を賄う割合を示す「電力自給率」を100%にするよりも、さらにハードルが高い挑戦だ。現在は、浜松市内で断熱改修した築30年のOMソーラー住宅を使って、住民が生活している状態で2020年12月から達成状況を調べている〔写真1〕。
オールタイムリアルZEHでは、パッシブデザインの高断熱住宅に、蓄電容量7kWhの蓄電池と最大出力7kWの太陽光パネルを設置。太陽熱と排熱を利用するOMXで冷暖房と換気、給湯を動かすことで消費電力を抑える。住宅の断熱性能は、「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」(HEAT20)の推奨する断熱性能グレード「G1」以上を要望する。
蓄電池とパワーコンディショナーには、200Vにも対応し、定格出力が5.5kWと大きい田淵電機(大阪市)の「EIBS7」を採用した。OMXと太陽光パネル、蓄電池、高性能フィルターの設置一式で約650万円が導入費の目安。20年度のサステナブル建築物等先導事業「省CO2先導型」に選ばれており、1戸当たり190万円の補助金が使える。