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 福島県沖で2021年2月13日に発生したマグニチュード7.3の地震で、最大震度6強を観測した福島県相馬市と新地町付近の被害状況を、地域微動探査協会の横山芳春事務局長が発生翌日に調査した。地質と地盤の専門家である同氏の写真で、被災直後の様子を伝える。

 相馬市と新地町にまたがる相馬港では、液状化の発生を道路面で確認。横山事務局長は「噴砂を手に取って観察すると、粒のそろった細かい砂が主体で、液状化の発生しやすい特徴を備えていた」と話す。港湾施設は一般に、浚渫(しゅんせつ)土砂を埋め立てに使う例が多く、液状化が発生しやすい。地質図では盛り土層だ〔図1〕。

〔図1〕相馬市・新地町付近の地質構成
〔図1〕相馬市・新地町付近の地質構成
赤点線が横山事務局長の2021年2月14日調査範囲。薄黄色が泥岩層、薄茶色が盛り土層、水色が低地の河川・海岸平野堆積層、黄緑が台地構成層。産業技術総合研究所地質調査総合センターの「20万分の1シームレス地質図」に横山事務局長が加筆(資料:横山 芳春)
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 だが建物の沈下は目視で確認できず、周辺の住宅地では噴砂も見つからなかったという。液状化被害がさして目立たなかった理由を横山事務局長は、「太平洋側の冬は降水量が少なく、地下水位が低い時期だったことが関係しているかもしれない」と分析する。