パナソニックとトヨタ自動車は2020年1月をめどに街づくり事業を手掛ける新会社「プライム・ライフ・テクノロジーズ」を設立し、両社の住宅事業を統合する。19年5月9日に発表した。
両社の関連会社であるパナソニック ホームズ(旧パナホーム、2018年4月に改称)とトヨタホーム、ミサワホームは、新会社の傘下に入る。3社のブランドは統一しないで、従来の事業を継続する。
新会社の設立では、パナソニックとトヨタ自動車の出資比率は同一となる予定だ。親会社の連結子会社から外して事業の独立性を確保する。住宅3社に加え、パナソニックの子会社であるパナソニック建設エンジニアリングと松村組も、新会社に移管する〔図1〕。
3社を合わせた国内における新築戸建て住宅の年間建設棟数は、単純合計で約1万7000戸〔図2〕。事業規模でトップクラスの企業グループが誕生することになる。住宅産業研究所(東京都新宿区)の関博計社長は、「現状でのシナジー効果を期待するというより、今後の競争激化を睨んだ動き。業界全体でこうした合従連衡が加速するとみている」と話す。
順位 | 社名 | 建設棟数 |
---|---|---|
1 | 一条工務店 | 12,700 |
2 | 積水ハウス | 11,200 |
3 | 積水化学工業 | 9,900 |
4 | 大和ハウス工業 | 9,000 |
5 | タマホーム | 8,300 |
6 | 住友林業 | 7,900 |
7 | 旭化成ホームズ | 7,200 |
8 | ミサワホーム | 6,885 |
9 | パナホーム* | 4,840 |
10 | トヨタホーム | 4,810 |
〔図2〕新築戸建て住宅の国内建設棟数ランキング(2017年度)
住宅産業研究所の調査。確認申請を基にヒアリングなどで補足した数値。「*」は18年4月にパナソニック ホームズに社名変更(資料:住宅産業研究所)
住宅事業の統合には、互いに新たな技術を実証する場を確保する狙いもある。街づくりや住宅の分野では、自動運転や次世代の移動サービス「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」、家電や住宅設備などのIoT(インターネット・オブ・シングス)化といった技術開発が急速に進行中。新会社でも、知見や技術を持ち寄ってこれらのテーマに取り組むことになる(次ページに磯貝匡志・ミサワホーム社長の会見要旨)。