PR

保険金の「払い渋り」はないか

 河合弁護士の問題提起はこのほか、次の通り〔図1〕。「保険金が適切に支払われているか、疑問がある」「瑕疵保険の適用対象を広げるべき」「当事者(施工者・所有者)が交代した場合に備えるべき」「『特定瑕疵』の解釈などに疑問がある」といった問題提起だ。

〔図1〕河合弁護士が指摘した消費者側からの問題点
〔図1〕河合弁護士が指摘した消費者側からの問題点
(資料:取材に基づき日経 xTECHが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 「保険金が適切に支払われているか」については、国交省の公表資料に基づく分析で、保険金支払額が低すぎる可能性があるという。「瑕疵保険の適用対象」は地盤や擁壁など建物工事以外の瑕疵が重大事故になりやすい一方、瑕疵保険の適用対象ではないというものだ。

 「当事者(施工者・所有者)が交代した場合に備えるべき」とは、被保険者が供給者(住宅会社)なので転売時の手続きが複雑になっているという指摘だ。「『特定瑕疵』の解釈などに疑問」については、建基法制を超えた「上乗せ性能」の解釈を巡るもので、現状の瑕疵保険は建基法水準をクリアしていれば「瑕疵」とは認めていない。

 河合弁護士の指摘「保険金が適切に支払われているか」は、国交省の公表資料を読み解いた結果だ。2009年の制度創設から19年3月までに保険金支払いが生じた5551件のうち、3887件(約70%)が1件当たり100万円以下。このうち590件は同じく30万円以下となっていた。「低すぎる」と河合弁護士は疑義を呈する。

 パネルディスカッションで国交省の川合室長は、河合弁護士の指摘に対して、「事故発生部位のうち93%が雨漏りであることなども理由ではないか。高額な工事費でないものも多いだろう」と見解を示した。

 一方、河合弁護士は「安価な補修で済ませざるを得ない制度になっていないか」とは投げかけ、保険法人の査定に関して改めて疑義を唱えた。表面的な補修しかできなければ本質的な課題解決につながらず、建物の寿命を縮める恐れがある、という懸念が指摘の背景にある。

 国交省は現在、「制度施行10年経過を見据えた住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討会」(座長:犬塚浩弁護士)で検討を進めており、10月末に報告書をまとめる。国交省の川合室長は「貴重な意見。見直すべきは見直したい」と語った。