ずらりと並ぶ複数の大型モニターに映し出されているのは、大和ハウス工業が建設する戸建て住宅のリアルタイムの施工映像だ〔写真1〕。
同社は2020年10月から、大型モニターを利用し、現場管理業務の一部を遠隔で行う実証実験を開始した〔図1〕。施工現場のデジタル化に向けて、日本電気(NEC)と共同で進める取り組みだ。
これによって、複数現場を行き来する現場監督の移動時間や現場作業を減らし、業務効率を3割向上させることを目指す。
主な実験メニューは3つある。1つ目は、複数の施工現場の映像や作業員の位置情報などを、遠隔で一元管理できるシステムの開発だ。
現在進めている方法では、戸建て住宅の施工現場ごとにインターネットにつながった360度の固定カメラと、作業員や資材、建設機械が発信する位置情報を読み取れるセンサーを設置。作業員には、移動しながらピンポイントで撮影できるウェアラブルカメラも装着させる。
これらの機器が収集したデータを、東京、大阪など全国10カ所の事業所内に設けた「スマートコントロールセンター」で集約。同センターの担当者はモニターを通じて遠隔管理したり、現場監督や作業員とタブレットなどで情報を共有しながらやり取りしたりする。
さらに、災害などの緊急事態発生時に遠隔で現場の状況を把握することで、BCP(事業継続計画)の作成につなげる。
将来的には、現場監督自身が現場事務所内に設けたスマートコントロールセンターなどから、遠隔管理することも視野に入れている。