社会全体に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)、列島を蹂躙した「令和2年7月豪雨」──。日経ホームビルダーが選んだ「10大ニュース2020」で、住宅業界を取り巻くこの1年間を振り返る。

住宅業界に限らず、新型コロナ禍が2020年のニュースでトップに挙がることに、異論は無いはずだ。いわゆる「3密」の回避、ソーシャルディスタンスの確保、外出自粛といった感染対策の徹底が進み、家づくりの在り方も激変した。
住宅業界で最初に影響が出たのは建築現場だ。建材・設備メーカーが中国から調達している部品の供給に遅れが生じ、トイレやシステムキッチン、食洗機などで納期が遅延。そのため、引き渡しや着工の遅れる住宅が全国で続出した。
政府が4月7日に緊急事態宣言を発令すると、工事の中断や事業所の一時閉鎖を決断する住宅会社も出てきた。一方で、工事を継続する会社も少なくなかった。経済活動との両立を図り、各社が手探りで感染拡大の防止に取り組み始めた〔写真1〕。
顧客対応でも、そうした「ニューノーマル」(新常態)が広がった。対面での打ち合わせや営業活動が難しい状況となり、ウェブ会議システムなどを活用してオンラインで代替する住宅会社が増えてきた〔写真2〕。
住宅そのものの在り方も変わりつつある。幅広い業種・職種で在宅勤務を中心とした働き方が浸透。新たなニーズとして提案に生かす動きが、住宅会社で活発化した。在宅勤務のスペースを盛り込んだプランなどを商品化している〔写真3〕。