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夏季の結露とカビの調査依頼が2019年、急増したという。気温や湿度が近年、上昇傾向で小屋裏や床下に水蒸気がたまりやすくなった。気密や通気の施工では従来以上に注意が必要だ。

 2019年、当社に依頼された業務の中で、夏季の結露とカビの調査が前年までと比べて急増した。増加の一因と考えられるのは、平均気温や相対湿度が上昇傾向にあること。こうした傾向が今後も続けば、被害はさらに増えると予想される。

 19年夏にカビ調査で出向いた築10年の木造住宅では、間仕切り壁のクロスに黒いカビが発生〔写真1〕。住人と新築時の施工会社から調査依頼を受けた。

〔写真1〕壁のクロスに黒カビ
〔写真1〕壁のクロスに黒カビ
築10年の木造住宅で間仕切り壁のクロスに黒いカビが発生した。築10年目までカビを確認したことはなかった(写真・資料:カノム)
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 壁を開けて内側をのぞくと、石こうボードの裏側にある柱や間柱などにも、大量のカビが付着しているのが見えた〔写真2〕。

〔写真2〕壁内にも大量のカビ
〔写真2〕壁内にも大量のカビ
クロスに黒カビが発生していた壁面を開けたところ。石こうボードの裏側や柱、間柱に大量のカビが付着していた。被害は2階壁の上部に集中していた(写真・資料:カノム)
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 被害は2階壁の上部に集中していた。そこで、原因は小屋裏にあるだろうと判断。小屋裏換気部分に不良箇所があるのではと疑い、確認してみた。すると、軒先にある換気口が遮熱シートで塞がれていた〔写真3〕。

〔写真3〕換気口を遮熱シートが塞ぐ
〔写真3〕換気口を遮熱シートが塞ぐ
黒カビが発生していた築10年の住宅で、小屋裏を確認したところ。軒先にある換気口が遮熱シートで塞がれていたことで、小屋裏に水蒸気がたまった(写真・資料:カノム)
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