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貯湯タンクを固定するアンカーボルトの施工不良が多い。固定方法は告示で規定されている。機器のスペックに応じたアンカーボルトの種類や本数を守り、メーカーのマニュアル通りに施工する。(日経ホームビルダー)

 大手ハウスメーカーの完成検査において、エコキュートの貯湯タンクを固定するアンカーボルトの径が小さく、種類も違うことを指摘した〔写真1〕。

〔写真1〕アンカーボルトの種類が違う
〔写真1〕アンカーボルトの種類が違う
エコキュートの貯湯タンクを固定するアンカーボルトのサイズが小さい。本来は「M12」のボルトで固定する必要があるが、「M10」だ。告示で指定された「おねじ形」ではなく、「めねじ形」のあと施工アンカーを使用している(写真:カノム)
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 私はこれまでの検査で、脚部の配管カバーを外してまでアンカーボルトを確認していなかった。しかし、この現場では、配管カバーが未施工でアンカーボルトが見えており、その径が細いと感じたのだ。

 確認すると、アンカーボルトのサイズはM10で、内周にねじが切られている「めねじ形」のあと施工アンカーを使用していた。平成24年(2012年)国土交通省告示第1447号(2013年4月に施行)の規定に従えば、M12で外周にねじが切られている「おねじ形」のアンカーボルトで固定する必要がある。

 告示第1447号は、給湯設備の地震に対して安全上、支障のない構造の規定を定めている。2011年の東日本大震災で住宅に設置した電気温水器がアンカーボルトの緊結不良などによって、多数転倒。これを踏まえ、建築設備の構造耐力上、安全な構造方法を定めた平成12年(2000年)建設省告示第1388号を改正した。

 国交省告示第1447号の施行に際しては、国交省が技術的助言を出している。設備機器メーカーも、施工マニュアルの改訂やホームページなどを通じて注意喚起を促したが、現在でもその告示の内容が現場の実務者の多くに届いていないようだ。

 冒頭の事例以降も、60件ほどの現場で貯湯タンクを固定するアンカーボルトをチェックしてきたが、そのうち約60%は径が小さく、約30%はめねじ形を使っていた。住宅の施工現場ではアンカーボルトの施工不良が多発している状況だ。

 不良率がここまで高い理由は、2つある。1つは、アンカーボルトが現場手配や別売りであること。もう1つは、設備業者や現場監督が給湯器の固定方法の法規を知らないためだろう。設備について規定があるとは思わないのかもしれない。