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安価なサーモカメラの普及で、壁に隠れた断熱材の隙間などを建て主から指摘される例が増えてきた。竣工後の補修は大掛かりになる。不備が生じやすい箇所は施工時に自主点検が必須だ。(日経ホームビルダー)

 新築分譲住宅の完成検査において、勾配天井と壁の取り合い部分に、周囲と比べて温度が高い箇所を発見した。写真1はその住宅で、屋内側から天井面を赤外線サーモグラフィーカメラ(以下、サーモカメラ)で撮影した画像だ。

〔写真1〕天井と壁の取り合いが高温に
〔写真1〕天井と壁の取り合いが高温に
新築分譲住宅の完成検査で、天井面をサーモカメラで撮影した画像。勾配天井と壁の取り合い部分に周囲と比べて温度が3℃ほど高い箇所を発見した。撮影は5月(写真:長井 良至)
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 断熱材は石こうボードを施工すると目視できなくなる。だがサーモカメラを使えば、隙間などの施工不備があった場合、内壁などに覆われていても、その箇所が分かってしまう。隠れてしまうからといって、おざなりな施工は許されない。

 冒頭の分譲住宅ではその後、施工会社が天井の一部を壊し、内部を調べた。すると、勾配天井から断熱材がずり落ちた状態となっており、断熱材に幅10cm程度の隙間が生じていることを確認した〔写真2〕。

〔写真2〕断熱材に幅10cmの隙間
〔写真2〕断熱材に幅10cmの隙間
写真1の天井の一部を壊し、内部を調べた様子。勾配天井で断熱材がずり落ちた状態となっており、幅10cmくらいの隙間が生じていた(写真:当該住宅の施工会社)
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低価格化で入手しやすく

 サーモカメラで撮影した画像は、撮影対象の表面温度を色分けして表現し、可視化する。当然だが、壁や天井を透かして映しているわけではない。つまり、室内側から撮影した場合は、仕上げクロスの表面温度を拾っているのだ。

 例えば、写真3は、夏季に外壁を屋内側から撮影したものだ。工事中のため冷房は稼働していない。日射の影響で断熱材が入っている部分は壁の表面温度が高く、柱や筋交いといった木部の箇所は相対的に低い。そのため、壁内を透かしたような画像になる。なお、色に対する温度の目安は画像内に表示される。

〔写真3〕断熱材の部分は温度高い
〔写真3〕断熱材の部分は温度高い
サーモカメラによる画像の例。夏季に屋内側から外壁を撮影した。断熱材が入っている部分は日射の影響で温度が高く、柱や筋交いなどの木部は温度が低い。エアコンは稼働していない(写真:長井 良至)
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 一般的な傾向として、冷暖房が必要となる夏季や冬季のほうが中間期よりも屋内外の温度差が大きい。サーモカメラの画像でも温度差が出やすくなるので、隙間などが生じている場合に分かりやすい。

 私がサーモカメラを初めて導入したのは今から15年ほど前のこと。当時は最も安い機種でも150万円ほどしたので、持っていること自体が珍しかった。

 最近は価格が下がり、2万円前後から手に入るようになった。スマートフォンに接続して使う簡易タイプもある。そうした機種・製品は安い分、性能はそれほど高くないが、断熱材の隙間を捉えるには十分だ。

 当社を含めて、第三者検査会社の所有率も高くなっている。現場でも、施工会社が断熱材の施工で不備について指摘を受けるケースが増えていることだろう。