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 読者の皆さまにとって、2019年はどんな年だったでしょうか。今号冒頭で、編集部が選んだ19年の「10大ニュース」をまとめました。これらから19年を漢字1字で表すと、私には「際(きわ)」という文字が浮かびます。

 「10大ニュース」のトップは、秋口に発生した台風15号と19号。近年繰り返される大規模な自然災害の脅威に改めて戦慄すると同時に、住宅分野でも、持てる知恵を総動員して従来以上の安心・安全を実現しなければならない「際」に達しているという確信を新たにしました。

 特集1で注目した「風災」は、家づくりの技術・技能やそれらを取り巻く法制度で、意外に見落とされてきたリスクといえるでしょう。住宅トラブルという視点で、雨漏りや壁内結露、地震災害などでは技術的検証を踏まえた対策が一定程度、普及しています。これらに比べて住宅の風災は、メカニズムや対策の研究を深める余地がまだまだ多いと感じます。

 その点で、台風15号と19号で生じた千葉県内の住宅被害は、近年の台風災害や豪雨災害とは異なる、そして喫緊(きっきん)の検討課題を示したといえるのではないでしょうか。

顧客や社会との“ご縁”再構築

 「10大ニュース」で取り上げた話題ではもう1つ、住宅産業全体で今後のトレンドを明示する確かな潮流を見いだすことができます。それは、つくり手側に求められるガバナンス対策の水準はますますシビアになっていくという流れです。

 建築士法や建築物省エネ法の改正、建設キャリアアップシステムの始動といった動きは、まさにそうした流れを示唆しています。企業ガバナンスへの社会的な要求水準が上がれば、住宅産業に注がれるまなざしもより厳しくなるはず。それが、レオパレス21や大和ハウス工業のような不祥事のバリエーションを増やすことにつながるのなら、世の中の誰にとっても幸福ではありません。

 見方を変えると、住宅産業と顧客や社会との“ご縁”は、もう一度しっかりとつなぎ直すべき「際」を迎えているのかもしれません。その点で、特集2で取り上げた中小住宅会社の地道な取り組みは、つくり手と顧客・社会との関係を原点から考えるヒントになると信じています。