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塀を壊せなんて話が違う!
(イラスト:柏原昇店)

 地域密着型のA工務店は、これまで全ての現場が車で30分以内の距離にあった。だが、住宅市場の不況で受注に苦戦。A社長は隣の市にもチラシをまいて営業に努めた。その甲斐あって、B氏の家を受注できた。築40年の家の建て替えだ。

 B氏の要望に難しいところはなく、プランはすぐに承認された。予算削減のために外構はそのまま使うが、隣家との間に建つ既存のブロック塀は背も高く、汚れも目立つ。背の低いアルミフェンスに交換することをA社長は提案した。

 ところがB氏は、「新設するなら同じ高さのブロック塀が必須だ」と回答。予算的に難しかったので、既存のブロック塀を残す計画で契約した。

 現場は順調に進み、完了検査の日を迎えた。ここで問題が発覚した。役所の担当者が古いブロック塀にダメ出しをしたのだ。高さ1.2m以上なのに控え壁がなく、既存不適格だと言う。建て直すか、上部を撤去して高さ1.2m未満にするかを要求してきた。

 A社長は面食らった。地元の市では既存の塀に対して指導を受けたことがなかったからだ。そのため確認申請図に既存の塀を描き入れておらず、この段階での指導につながった。