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(イラスト:柏原昇店)
(イラスト:柏原昇店)
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 地域密着型の小規模なA工務店は、A社長の細やかな顧客対応が評価され、手堅く受注を得てきた。B氏もその評判に引かれた1人だ。設備に関心が高く、A社長と一緒にショールームを回って製品を吟味。検討を始めて3カ月後には契約した。

 現場は順調に進んだが、工事後半で問題が生じた。新型コロナウイルスの影響で、予定していた2つの便器が手配できなかったのだ。A社長はなんとか、設計とは異なる品番の製品を1つだけ確保した。

 便器を取り付けなくても完了検査を実施できる特例措置が設けられたものの、現実には顧客との関係から便器が1つもない住宅を引き渡すのは難しい。選択肢は便器を入手するまで工期を延ばすか、便器を仕様変更して引き渡すかだ。

 前者の場合、残金の入金が遅れ、工期遅延分の家賃も工務店の負担となる。後者の場合、B氏がこだわって決めた便器ではなくなるうえ、2カ所あるトイレの1つが当面使えない。A社長は2つの案をB氏にぶつけた。

 当初、B氏は工期を延ばす案に傾いていたが、迷いが感じられた。そこでA社長が「新型コロナの影響がどれだけ続くか分からない。ひとまず入居してはどうか」と強く勧め、仕様変更して引き渡す案に同意した。