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(イラスト:柏原昇店)
(イラスト:柏原昇店)
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 社員3人の小さなA工務店は、リフォーム会社出身で多能工のA社長がDIYにも前向きに対応している。最近相談にきたB氏も、そうしたDIYにこだわりの強い顧客の1人だった。年齢は50代後半で、築60年程度の古い住宅を購入したので、リノベーションしたいと言う。

 B氏は木工が趣味で、玄人はだしの腕前だ。造り付け家具を自分で手掛けたいと要望していた。A社長はそれを了承。プランはすんなりと受け入れられ、予算面でも問題なく、ほどなく契約に至った。

 A社長は解体に取り掛かった。内壁を撤去すると、骨組みは継ぎはぎだらけ。新築時に予算削減のため古材を多用したようで、様々な寸法の材が用いられていた。一部の柱は傾いてもいた。とはいえ、この時代の建物にはたまに見られることなのでA社長は気にも留めなかった。

 解体後、スケルトン状態のときにB氏が現場を見に来た。その際、「造り付け家具を柱間に設けるので、傾いている柱を垂直に直して面をそろえてほしい」とA社長に要望した。

 柱の傾きに加え、この建物は柱寸も不ぞろいだ。何本もの柱を削り、パッキンをかませて調整するとなると、費用がかさみ、精度も保証できない。A社長はまともに取り合わず、「難しいと思います」とB氏をいなした。