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客「ええっ! 自分が死んだ時には家を売るの?」 不動産コンサルティング「はい。もちろんそうですが…」
(イラスト:高松 啓二)

 最近、テレビCMなどでリバースモーゲージという金融商品を耳にする機会が増えてきた。

 リバースモーゲージとは、自宅を担保にして、そこに住み続けながら金融機関から融資を受けられる制度だ。シニア層をターゲットにした融資制度で、死亡後は自宅を売却し、代金を融資の一括返済に充てる。

 年配の方にとって使い勝手の良い制度だが、顧客が契約内容を誤解しているケースも多い。先日、筆者もそのような経験をした。

「死んだ時に家を売る?」

 「ええっ? 自分が死んだ時に家を売ることになるの? そんな話は聞いていないよ」

 「いえ、残念ながら、この金融機関の契約書を拝見するとそうなります。商品によっては、奥様やご子息が債務を継承したり、ご自宅を売却するか否かを選択できるケースもありますが、拝見した契約書はそのようになっていません」

 「リバースモーゲージを勧めてきた工務店にうまく乗せられてしまったかな」

 「契約書には、万一お亡くなりになった場合、家を売却して債務を完済する旨の記載があり、お客様の署名捺印もあります。恐らく、その工務店から何らかの説明があったと思います」

 このお客様は、リバースモーゲージの融資を活用して自宅を賃貸併用住宅に増改築した。改築後、資産をどう運用するか、相続対策を含めた相談をするために筆者の事務所を訪れた。しかし、リバースモーゲージの問題が噴き出し、相続対策どころではなくなった。

 後日、契約に至る経緯を詳しく聞いたところ、この件はお客様の長男が主導したと分かった。金融機関からリバースモーゲージの説明があった時、本人は「死亡時に家を売るのか」と驚いたが、同席した長男から「問題ない。あとのことは何とかするから安心して」と言われたそうだ。本人は「家を売らなくても長男が何とかしてくれる」と勘違いしたまま署名捺印したらしい。