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シャッターでは被害を防げず

 銚子地方気象台は被害状況を基に、竜巻の風速を約55m/秒と推定した。「日本版改良藤田スケール」で、6段階中の3番目に当たる「JEF2」の強さだとも伝えた。JEF2の風で発生する主な被害は「鉄筋コンクリート製電柱の折損」「普通自動車の横転」「木造住宅の上部構造の変形に伴う壁の損傷」「木造小屋組み材の損壊」「鉄骨造倉庫の屋根ふき材の飛散」などだ。

 下野の停留所付近では、倒壊してばらばらになった建物を6棟発見した。そのうちの1棟は、消防隊員によって住民が救出された2階建て住宅だ〔写真3〕。土台を確認できた別の建物はくぎだけが残っていたので、くぎ留めによる強度の低い柱脚の固定方法だったと思われる。

〔写真3〕ブロック基礎の住宅は倒壊
〔写真3〕ブロック基礎の住宅は倒壊
下野地区で倒壊した木造2階建て住宅の被災現場。土台とブロック状の基礎が見える。住宅の下敷きになった10歳未満の子ども3人と、大人2人が救助された(写真:日経ホームビルダー)
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 ばらばらになったうちの2棟と同じ敷地内に立つ築10年以上の木造2階建て住宅では、瓦の飛散とガラスの割れなどに被害はとどまっていた〔写真4〕。柱脚を比較的強く固定していたため、柱と壁がばらばらにならずに済んだとみられる。

〔写真4〕隣接する2棟で明暗
〔写真4〕隣接する2棟で明暗
手前は、下野地区で倒壊した木造住宅の基礎と土台。土台にほぞとくぎがあるのを確認できる。奥に見えるのが、瓦の飛散と開口部の損傷などにとどまっていた築10年以上の木造2階建て住宅(写真:日経ホームビルダー)
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 竜巻被害の痕跡をたどると、開口部や外壁が破損して、屋根の小屋組み材やふき材が吹き飛んでいる建物を多数発見した。開口部や外壁に穴が開いて、屋根を外側に押す内圧が増すことによる、典型的な風による壊れ方だ。

 竜巻が発生した10月12日は、気象庁が台風19号の千葉県通過を予報していた。そのため、台風による開口部の損傷を防ぐ目的で、雨戸やシャッターを閉じていた建物は少なくなかった。雨戸やシャッターは竜巻対策にも活用されるが、今回は竜巻による被害を防ぐことが難しかったようだ。

 築19年目の木造2階建て住宅は、閉めていた雨戸が外れて複層ガラスが割れ、垂木と隅木が飛散していた。垂木と隅木はひねり金物で所々留められていた〔写真5〕。

〔写真5〕雨戸を閉めた窓が割れ、小屋組みが飛散
築19年目の木造2階建て住宅を、竜巻の進行方向に沿って見る。ひねり金物で所々留められていた小屋組み材が飛散した。1階の右側面には高い位置に出窓が付いていた。この側面は、雨戸を閉めていた面とは異なる壊れ方をしていた(写真:日経ホームビルダー)
築19年目の木造2階建て住宅を、竜巻の進行方向に沿って見る。ひねり金物で所々留められていた小屋組み材が飛散した。1階の右側面には高い位置に出窓が付いていた。この側面は、雨戸を閉めていた面とは異なる壊れ方をしていた(写真:日経ホームビルダー)
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枠から外れていた鋼板製外付け雨戸(写真:日経ホームビルダー)
枠から外れていた鋼板製外付け雨戸(写真:日経ホームビルダー)
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 木造2階建ての倉庫は、金属製折板屋根がまるごと吹き飛んだ。倉庫の1階に設置されていた軽量シャッターは閉まっていたが、風圧力でスラットがガイドレールから外れていた。台風15号の際に中柱が折れて、新しい製品に交換したばかりのシャッターだった〔写真6〕。築年数の古いプレハブ住宅は、雨戸とサッシがまるごと吹き飛び、金物で桁と接合していた垂木と野地板が飛散した。雨戸を付けていない垂れ壁の開口部は、すべて損傷していた〔写真7〕。

〔写真6〕軽量シャッターがガイドレールから外れる
潤井戸地区で金属製折板屋根がまるごと吹き飛んだ木造2階建て倉庫。1階に設置されていた軽量シャッターのスラットが、ガイドレールから外れていた(写真:日経ホームビルダー)
潤井戸地区で金属製折板屋根がまるごと吹き飛んだ木造2階建て倉庫。1階に設置されていた軽量シャッターのスラットが、ガイドレールから外れていた(写真:日経ホームビルダー)
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タイトフレームで桁に留めていた倉庫の金属製折板屋根が吹き飛んでいる様子。竜巻の風圧力でビスが破断していた(写真:日経ホームビルダー)
タイトフレームで桁に留めていた倉庫の金属製折板屋根が吹き飛んでいる様子。竜巻の風圧力でビスが破断していた(写真:日経ホームビルダー)
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〔写真7〕サッシがまるごと吹き飛ぶ
〔写真7〕サッシがまるごと吹き飛ぶ
下野地区で、雨戸とサッシがまるごと吹き飛び、垂木と野地板が飛散した築年数の古いプレハブ住宅。部分的に残っていた雨戸には、へこんだ痕が見られた(写真:日経ホームビルダー)
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