知らねば売れぬ木構造のイロハ
目次
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「長期優良」が当たり前
多くの情報を持つようになった「スーパー消費者」を前に、家づくりの“最低基準”は建築基準法から長期優良住宅へと移りつつある。建基法の仕様規定と大きく異なる「準耐力壁」や「床倍率」の考え方を中心に、長期優良住宅の留意点をまとめる。
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仕様規定をより安全に
「4号建築物」の木造住宅は、手続き上、構造計算せずに仕様規定で安全性を確認することが認められている。しかし、仕様規定はあくまでも最低基準。より安全な家をつくるためには、「仕様規定で何を確認するか」を知っておきたい。
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ベタ基礎は経済的に区画する
「ベタ基礎にすれば構造上は安全」というわけではない。断面積や鉄筋量を減らして安く仕上げるのはもってのほか。安全性と経済性を両立するベタ基礎を設ける秘訣は何か。
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「いつもベタ基礎」で安全?
木造戸建て住宅でも基礎伏図などの15年間の保存義務化が始まった。これまであいまいにされがちだった基礎の設計を改めて見直すことが重要だ。
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地盤を「丸投げ」していない?
木造住宅の設計者にとって、建物と地盤の正しい関係への理解は欠かせない。まずは、地盤の判定法の基本的な考え方を理解したい。
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木造住宅は「箱」で考える
地震や風に強い木造住宅をつくるには、耐力壁と水平構面でつくる「箱」をイメージして設計するとよい。できるだけ整形な箱をつくり、そろえて並べ、水平構面を連続させるのが基本だ。
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性能を高めた家は重い
省エネや耐火の仕様で家は重くなりがちだ。太陽光発電パネルを設置すると家の偏心も大きくなりやすい。家づくりでは実際の重さを把握したうえで、十分な耐力壁を設ける必要がある。
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「面材耐力壁」は告示が基本
構造面材を耐力壁として用いる場合、取り付け方や並べ方まで気を付けているだろうか。正しい壁量計算には、告示に沿った正しい設計・施工が欠かせない。
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筋交いは高さと向きに注意
前回までの連載では「特殊な間取り」の対策を解説してきた。今回からは木造住宅の基本的な耐力要素の考え方や注意点を個別に取り上げていく。まずは「筋交い耐力壁」だ。
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狭小間口で大開口はOK?
間口の狭い敷地に立つ木造住宅で問題になりやすいのが、道路側の面にほとんど壁がない「一面開口」のプランだ。耐力壁の配置バランスを検討する際、簡易な「4分割法」で済ませないで「偏心率」も用いれば、解決法の選択肢は広がる。
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勾配天井では耐力壁との「隙間」をなくす
勾配天井は構造上の弱点となりがちな部位の1つだ。耐力壁の上端との取り合いに「隙間」が生じていると、建物を構成する「箱」に穴が開いた状態になってしまう。こうした場合、耐力壁は登り梁まで延ばす必要がある。
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吹き抜けの間取りは「箱の蓋の穴」と同じ
吹き抜けを設けた空間は、箱の蓋に開けた穴と同じと考えると分かりやすい。穴が大きいと蓋の強度が低下。箱に加わる横からの力に弱くなり、箱が変形しやすくなる。吹き抜けを採用するのであれば、水平力に抵抗できる要素を設け、構造上の強さを兼ね備えた空間の確保が重要だ。
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スキップ床は注意して使え
床を段違いに配置するスキップフロアの空間は魅力的だが、構造上の弱点になりやすい。地震によって生じる揺れが段差の両側で異なり、構造体の一部に大きな力がかかるからだ。弱点を理解したうえで、地震に強いスキップフロアを設計できるようにしたい。
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耐震等級を顧客に選ばせるな
木造住宅の構造安全性を確保するにはどのような点に留意し、顧客にどう説明すればよいか。住宅会社向けに木造住宅の構造塾を主宰する、M's(エムズ)構造設計の佐藤実代表が解説する。第1回のテーマは耐震等級3の住宅の必要性だ。