夏型結露を防ぐ対策は?――。徹底した養生で工事中の雨掛かりを減らす取り組みや、遮熱性や透湿性を高めた層構成で壁内の夏の相対湿度を上げない工夫を紹介する。
雨養生
壁と床の面材をぬらさず施工効率も確保
グラスウールの充填とプラスチック系断熱材の外張り付加断熱を標準仕様に高断熱・高気密住宅を手掛けるハウスプロジェクト(高松市)は、工事中の雨掛かり防止に徹底した雨養生を取り入れている。
取り組みのきっかけは、メンバーである「耐震・省エネルギー・エコロジー住宅を創る工務店ネットワークかがわ」(TSE)の勉強会で、講師を務めた住まい環境プランニング(盛岡市)の古川繁宏代表から、工事中の雨掛かりが高断熱・高気密住宅で夏型結露を招く一番のリスクと聞いたからだ。
ハウスプロジェクトの鹿庭洋介代表は、「以前から現場を雨にぬらさないように注意していたが、この話を聞いて、夏型結露を意識して入念に養生するようになった」と話す。
同社の養生で目を引くのは、透湿防水シートを張り終えるまで、外壁の養生シートを外さないこと。軸組み材と面材を守るためだ〔写真1〕。
サッシの取り付け時は、対象のサッシごとに周囲の養生シートだけを部分的に外し、取り付け後に再び張るという作業を繰り返す。同社では、サッシ周りで防湿シートと透湿防水シートの先張りを基本にしているので、全てのサッシを先張りシートと合わせて設置し、外壁全体に透湿防水シートを張れる状態になるまで一定の日数を要す。その間、雨が降る確率も高くなる。そのための“全面養生”だ。
面材の施工後は重点養生
同じくTSEのメンバーで、年間約10棟の新築住宅を手掛ける田中工務店(高松市)は、施工効率とバランスを取って現場の雨掛かりに対応する工夫を実践する。その1つが、面材の施工後に、重点箇所への部分的な養生を基本にする手法だ。予報で降雨が見込める場合を除いて、全面養生はしない〔写真2〕。
同社の結城研太工務課長は「雨掛かりを防いで、サッシの取り付けや中間検査前の確認作業を効率的に行えるようにするためだ」と説明する。
養生の重点箇所は、面材同士の継ぎ目や開口部、通気パッキンなど。同社では面材に、合板や木質ボード(OSB)より表面から水が浸透しにくいというアクリル系樹脂塗装のパルプ・けい酸質混入セメント板を使用し始めてから、この養生方法を標準にしている。面材表面に比べると水が浸透しやすい小口の保護がポイントになる。