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 「建売住宅なので、住まい手を選ばず快適な温熱環境を得られるようにすることが大切。まずボディ(建物躯体)の性能を強化して、あとは使いやすい一般的な設備で補完した」。堀部安嗣氏(堀部安嗣建築設計事務所代表)はモデルハウス「つくばのベーシックハウス」〔写真1〕の設計趣旨をそう話す。

〔写真1〕吹き抜けの上に腰屋根
〔写真1〕吹き抜けの上に腰屋根
1階の広間。上部に見える小さな吹き抜けは、重力換気を促す腰屋根へと通じる。2階の個室との間に開閉できる無双窓を設けるなど、空気の流れを意識した。正面の引き戸の奥は寝室。住まい手がやがて高齢になることを見据え、1階で生活を完結できる間取りとしている(写真:浅田 美浩)
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 建物は敷地の外周に沿ってL字形の下屋を配置し、正方形平面の総2階と組み合わせた。日射が得られる南西・西北側に面した下屋にはダイニングやキッチンを並べて大きな開口を取った〔写真2〕。一方、北東角には水まわりや納戸を置いた。

〔写真2〕外とつながる開放的な下屋
〔写真2〕外とつながる開放的な下屋
L字形に配した下屋は外部とのつながりを意識した空間とした。日射取得と内部発熱を期待できるため、外壁はあえて充填断熱のみとし、大きな開口には木製建具を採用。開口の内側には引き込み式の障子を設け、層を重ねることで断熱性の向上を図った(写真:浅田 美浩)
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内部発熱を勘案して断熱設計

 外壁の断熱は、総2階部分は充填と外張りの2重断熱を施したのに対し、下屋部分は充填断熱だけにとどめた〔写真3〕。「日射を得られる下屋は、家族の滞在時間が長く内部発熱も大きい。総2階部分に比べて断熱性能を多少低くしても、家全体では均質な温熱環境となる」と堀部氏。同様の断熱方式は、神奈川県で2018年2月に建てた秦野の家(18年12月号「外皮性能を一様とせず緩やかに空間をつなぐ」)での実績があり、堀部氏も手応えを感じているという。

〔写真3〕総2階部分を高性能に
〔写真3〕総2階部分を高性能に
北西側の外観。総2階部分は充填と外張りの2重断熱、アルミ樹脂複合サッシで外皮性能を高めた。開口は最小限とし、開放的な下屋と対照的な表情を見せる(写真:浅田 美浩)
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 主暖房には、屋根面で暖めた空気を1階の床下にダクトで送る空気集熱式ソーラーシステムを採用した。ダクトスペースは浴室・洗面室の近くに配置し、冬に寒くなりがちな東北角のエリアを暖めやすくした。広間と洗面室の上部には腰屋根へ通じる小さな吹き抜けを設け、夏の暑い空気を逃がす。

 「水まわりは快適な温熱環境を得られにくい場合も多いが、ここは夏も空気がこもらずに気持ち良い」と、施工を手掛けた郡司建設(茨城県土浦市)の岡本秀夫専務は指摘する。冷房と補完的な暖房に用いるエアコンは、1階と2階に1台ずつ配置した。

 キッチンの北側に設けた外部テラスにも工夫がある〔写真4〕。「高断熱を保ちつつ戸外とのつながりを得ようとすると、窓の仕様が大げさになりがち。むしろ完全な外部空間を用意すれば、住まい手も割り切って外の環境を楽しめる」(堀部氏)。ただし日射や雨を防ぐ配慮は欠かせない。ここでは直射日光を避けて北に配置し、屋根やすだれを設けて居心地良い空間とした。

〔写真4〕日と雨から守られたテラス
〔写真4〕日と雨から守られたテラス
キッチンの北側に設けたテラス。屋根やすだれを設けて日差しと雨を遮るつくりとし、居心地の良い外部空間とした。すぐ外には、分譲地の外周を巡る緑が見える(写真:浅田 美浩)
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