手すり壁やパラペットの笠木まわりは、雨水が最も浸入しやすい場所の1つだ。最大の原因は、笠木固定用の金具を留める際に下地木材の天端にビス穴を開けること。そこで考案されたのが、ビスを天端から打たずに側面から打つ板金笠木だ。
住宅瑕疵保険法人の日本住宅保証検査機構(JIO)が2019年7月にまとめた調査によると、保険金が下りた雨漏り事故で、最も多い雨水浸入箇所は「陸屋根およびバルコニー」で、全体の36.9%を占めた。
そのなかで特に多いのが、手すり壁やパラペットの笠木まわり。笠木下の天端は水平で、浸水した雨水が溜まりやすい。溜まった雨水は下地木材や胴縁などに浸透し、腐朽を招く恐れがある。
天端の水が内部に浸透する通り道になるのが、笠木固定用の金具を留め付ける際に開けるビス穴だ。笠木を設置する際には、まず下地木材の上に防水紙を被せ、その上にビス穴を開けて笠木固定用の金具を留め付け、最後に笠木を被せる。
天端にビス穴を開けなければ、浸水事故をもっと減らせるはず。そんな考えから開発されたのが、換気部材メーカーのハウゼコ(大阪市)が17年1月に発売した「アンタレス・ホールレス・パラペットキャップ」(以下、AHPC)だ。これは下地木材の側面からビスを打つ、換気部材一体型の板金笠木。手すり壁とパラペットのどちらにも導入できる製品だ〔写真1、図1〕。現在は、その後継製品のAHPCIIを販売している。