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岐阜県富加(とみか)町の富田(とみだ)製材は、2000万円台を中心に戸建て注文住宅を年間10棟前後、受注している地域工務店だ。同社の住宅建築現場は、建て主や第三者の見学客をいつでも迎え入れられるように開放している。
現場をショールームのようにオープン化することで、立ち寄る人に現場担当者との交流機会が自然に生じることを狙っている。安心感や信頼感を持ってもらうことで、建て主以外の見学客も“見込み客化”することを視野に入れた取り組みだ。
現場の内外に張られた各種掲示物は様々だ〔写真1、2〕。近隣へのあいさつ、現場を担当する作業者の自己紹介ボード、専門工事の協力会社向けの呼びかけといった掲示物が各所に張られている。建物の出入り口付近には、建て主と現場担当者がそれぞれメモを通じて情報や要望を伝えるためのメッセージボックスも設置。これらはいずれも、現場の関係者間や、自社担当者と建て主とのコミュニケーション・ツールだ。
〔写真1〕現場担当者の「顔」を見せる
現場の出入り口に設置した現場担当者の自己紹介ボード。社外の専業大工職や専門工事の作業者も含めて、施工に関わる全員の顔写真と名前、メッセージを掲載。建て主と顔を合わせる機会の少ない工種の作業者も工事に参加していることを伝える(写真:富田製材)
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〔写真2〕現場担当者と建て主で“文通”
現場の玄関付近に、建て主と現場職人とがメモでやりとりできるメッセージボックスを設置。写真左手には来場者サービス用のキャンディーポット。いずれも全ての現場で“おもてなし”の基本仕様だ(写真:富田製材)
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建て主には専用のスリッパなども常に用意。子ども連れも多いため、例えば階段には「おとなといっしょにあがろうね」といった注意書きも欠かさない。こうした掲示は、近隣の住民などが立ち寄った際に現場が常に安心できる環境であることを伝える役目も担っている〔写真3~5〕。
〔写真3〕子ども連れにも配慮
建て主や見学客が子ども連れで来場することも多い。例えば階段には、「おとなといっしょにあがろうね」といった注意書きを張るなど、安全面の配慮も目に見える形で実施している(写真:富田製材)
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〔写真4〕建て主専用の名入りスリッパ
建て主には名入りの現場用スリッパをプレゼントする。「いつでも見学にどうぞ」というメッセージが込められている。名前の刺しゅうは、酒向社長の夫人が自ら施す(写真:富田製材)
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〔写真5〕現場の靴置きでもさりげなくメッセージ
建物の出入り口には必ず靴置きを設置する。整理整頓や安全第一を呼びかけるメッセージは、建て主や見学者に自社の品質を伝えるアピールにもなる(写真:富田製材)
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