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開口部を飛来物から守る対策の要として窓シャッターが改めて注目されている。リフォーム用の耐風仕様の製品も近々登場する。耐風圧性能の向上や耐衝撃性能基準を見直す動きも出ている。

 風災対策で窓シャッターの果たす役割が注目されている〔写真1〕。

〔写真1〕再確認された飛来物対策の役割
〔写真1〕再確認された飛来物対策の役割
YKK APが千葉県鋸南町で実施した19年の台風15号の被害調査の一場面。飛来物の衝突した跡がはっきり分かる(写真:YKK AP)
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 LIXILでは2018年の台風21号襲来後、窓シャッターの損傷による交換を130件以上受注した。同社のサッシ・ドア事業部窓まわり商品開発室の飯盛光洋室長は、「いずれもガラスの破損はなかった」と胸を張る。

 YKK APでは18年9月、後付けタイプの窓シャッター「かんたんマドリモシャッター」を発売。関西や中部では昨年度下期、前年同期比で2倍以上を出荷したという。

 同社の中谷卓也住宅商品企画部長は、「窓シャッターは防犯用に1階での設置が多い。しかし最近は、風災対策として2階への設置も提案している」と話す。

 風災から窓ガラスを守るには、飛来物の衝突だけでなく、風圧にも耐えなければならない。想定以上の風圧力を受けるとスラットがガイドレールから外れかねないからだ。

風圧はサッシの半分で想定

 日本シヤッター・ドア協会は、窓シャッターが耐えるべき風圧の基準をサッシの規格値の半分と設定し、等級表示はその考え方に沿ってサッシに連動させている〔図12〕。メーカー各社は最も上の等級である最高圧力1200Paの耐風仕様の製品を既に販売済みだ。

〔図1〕風圧力をサッシの半分と想定
〔図1〕風圧力をサッシの半分と想定
日本シヤッター・ドア協会「窓シャッター技術基準」を基に作成(資料:日経ホームビルダー)
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〔図2〕耐風圧性能の等級区分
〔図2〕耐風圧性能の等級区分
JIS A 4706:2015(サッシ)に基づく。雨戸に関しても、JIS A 4713:2004(住宅用雨戸)に基づき耐風圧性能が等級化されている。等級は、「SA-1」から「SA-5」まで。最高圧力は窓シャッターと同じで、400Pa(SA-1)から1200Pa(SA-5)まで(資料:日本シヤッター・ドア協会)
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 ただ、3階部分の開口部に相当する高さ6.9ⅿで受ける風圧力を、00年の建設省告示1458号の計算式で試算すると、地表面粗度区分IIでは1200Paを大きく上回る負圧を受ける〔図3〕。地域によっては、より安全側の性能も見込む必要があるといえる。

〔図3〕3階建て住宅の窓シャッターにかかる風圧力(負圧)の試算結果
〔図3〕3階建て住宅の窓シャッターにかかる風圧力(負圧)の試算結果
岡田恒氏が作成したプログラムを使い、軒高8.4ⅿ、棟高9.9ⅿの3階建て住宅、サッシの平均高さ6.9ⅿ、隅角部で日経ホームビルダーが試算。単位はPa(資料:日経ホームビルダー)
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 YKK APは現在、リフォーム用の耐風仕様の製品は窓枠の周囲の取り付け幅に余裕のある標準的な納まりにしか対応していない。しかし今後、20年春に向けて対応する納まりのバリエーションを広げていく方針だ。

 LIXILは最高圧力1200Pa超の性能を表記した製品を登場させる。現在、1200Paをうたう耐風仕様は2600×2230mmの製品で展開中。これより小さなサイズであれば性能はより高いので、今後はその性能値を具体的に表記する方針だ。

 最高圧力1400Paをうたう高耐風仕様の製品も既にある。文化シヤッターの「マドマスターワイド」〔写真2〕だ。間口698~2100mmで用いた場合には、1400Paの風圧力に耐える性能を発揮するという。

〔写真2〕風圧力1400Paに耐えられる製品も
〔写真2〕風圧力1400Paに耐えられる製品も
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〔写真2〕風圧力1400Paに耐えられる製品も
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文化シヤッターの「マドマスターワイド」。右の図のようにサイドレールを滑るフックをT型にすることで、スラットを外れにくくしているという(資料:文化シヤッター)

 このように、同じ製品でも耐風圧性能はサイズによって異なる。製品選びではその点に留意しておきたい。

 一方、飛来物の衝突時の耐衝撃性能について、メーカー各社は自社製品の性能確認に乗り出した。窓シャッターに求められる性能がこれまで明確ではなかったからだ。

耐衝撃性能の基準づくりへ

 三和シヤッター工業は、建築用ガラスの日本工業規格(JIS)に従って飛来物の衝突試験を実施。3種類の試験体はいずれも加撃体が貫通せず、全て合格した〔写真3〕。文化シヤッターも「マドマスターワイド」を試験体に同様の試験を実施し、ガラスの破損がなかったことを確認した。

〔写真3〕飛来物の衝突試験を実施
〔写真3〕飛来物の衝突試験を実施
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〔写真3〕飛来物の衝突試験を実施
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〔写真3〕飛来物の衝突試験を実施
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発射した加撃体が試験体を貫通するかで評価した。写真の試験体は「マドモアスクリーンS」。ガラスとの隙間は約80mm。加撃体は約2kgの2×4木材を使った(写真:三和シヤッター工業)

 三和シヤッター工業商品開発部シャッターグループの伊澤秀観グループリーダーは、「耐衝撃性能はスラットの厚さと、スラットとガラスの隙間寸法に左右される」と指摘する。

 日本シヤッター・ドア協会はこれまで窓シャッターの技術基準では強化ガラスと同じレベルの性能を求めていたが、18年度からその見直しを検討している。動向が注目される。