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 リフォーム工事に先立つ現況調査は、できるだけ非破壊で行うケースが一般的だろう。しかし事例1~3で紹介したように、改修の必要が生じる範囲が想定を上回る恐れが見込めるリフォーム案件では、追加費用が発生する可能性を含めて、早い段階で顧客にしっかりと説明しておく必要がある。

 特に、構造体に不具合があることが分かったり、改修の影響が構造体に及ぶリスクが見込めたりする場合は、トラブルを招きやすい。

 外房住宅の森山光治社長は、こうしたリフォーム案件について、次のようにアドバイスする。

 「古い住宅では、建築時の図面が残っていても、情報が間違っている例は珍しくない。事例3のような場合は、『図面と現況が異なっている場合は、実現できないこともある』と、顧客に最初から強く話しておくべきだ」〔図1

〔図1〕図面があっても信じるな
〔図1〕図面があっても信じるな
事例3で顧客Fさんが保管していた平面図の一部。浴室と脱衣所の仕切り壁は非耐力壁のはずが、筋交いが入っていた(資料:取材先提供)
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失注より怖いトラブルリスク

 事例12のようなケースでは、最初からあまり安全を見すぎて見積もりをまとめたために工事費が高くなり、失注するケースもあるだろう。こうした事例について、森山社長の場合は日ごろから、顧客と契約を取り交わすうえで、正式な提案前に部分的な解体調査の実施を条件にしているという〔写真1〕。

〔写真1〕契約で一部解体を条件に
〔写真1〕契約で一部解体を条件に
外房住宅では、見えない箇所に不具合が見込めるリフォーム工事では必ず、顧客との契約で対象箇所の一部の解体調査を条件にしている。写真は古いモルタル外壁の下地を確認している様子。下地や土台が傷んでいることが分かる(写真:大菅 力)
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 「見えない箇所の状況によっては、工事内容が大幅に変わる。補修後の瑕疵(かし)トラブルといったリスクを避けるためにも、正確な提案と見積もりが不可欠だからだ」

 既存躯体の劣化が予想される物件の場合、一定の技術と経験があるプロほど敬遠するケースは一般に珍しくない。そのために競合が絞られる分、プロ側が「解体調査が条件」と強気に出ても、それだけでは失注しにくい面があるという。顧客が事前解体を拒んで失注しても、後に生じるトラブルのリスクを回避する方が重要と森山社長は話す。