現在、9割以上の住宅実務者が、防蟻対策として「ベタ基礎の採用」を挙げている。ベタ基礎を採用すれば、土壌処理を省略できると品確法で規定されているからだ。しかし、現実にはベタ基礎を採用した住宅でも、シロアリ被害が続出している。玄関や勝手口の周辺がシロアリの餌食になり、基礎のわずかな隙間が狙われる。もはや、ベタ基礎で発生した蟻害を「想定外」と片付けられなくなってきた。先進的な住宅会社は、想定外を言い訳にしない新たな防蟻対策を着々と講じている。

現在、9割以上の住宅実務者が、防蟻対策として「ベタ基礎の採用」を挙げている。ベタ基礎を採用すれば、土壌処理を省略できると品確法で規定されているからだ。しかし、現実にはベタ基礎を採用した住宅でも、シロアリ被害が続出している。玄関や勝手口の周辺がシロアリの餌食になり、基礎のわずかな隙間が狙われる。もはや、ベタ基礎で発生した蟻害を「想定外」と片付けられなくなってきた。先進的な住宅会社は、想定外を言い訳にしない新たな防蟻対策を着々と講じている。
「ベタ基礎はシロアリに強い」。そんな油断は絶対に禁物だ。ベタ基礎を導入した住宅でも、シロアリはわずかな隙間をついて侵入する。特に多いのが玄関まわりの被害だ。
ベタ基礎は、床下の土を鉄筋コンクリートの底盤で覆うので、シロアリの入り込む余地がないように思える。しかし、シロアリはわずかな隙間をかいくぐって侵入する。
「基礎断熱工法を採用した住宅のシロアリ被害は、どうしても発見が遅れがちになる。気づいた時には構造体まで波及しているケースが多い」。そう警告するのは日本しろあり対策協会(以下、白対協)の土井正副会長だ。
防蟻対策の基本は、シロアリの生態をよく知ることから始まる。ここでは、京都大学の簗瀬佳之准教授の監修で、シロアリの特性を解説する。
シロアリ対策は、使用薬剤の量を極力減らして効果を得る「レスケミカル工法」や、薬剤を使用しない「ケミカルフリー工法」が台頭し始めている。その実情を報告する。
シロアリが通過できる隙間は1mm前後。それより小さな隙間には侵入できない。そこで、網の目が1mmより小さいステンレス製金網を張り巡らし、物理的にシロアリの侵入を防ぐ工法がある。ターミメッシュジャパン(大阪市)が販売するターミメッシュ・システムだ。
シロアリは乾いた場所が苦手だ。空気が動くと体の表面が乾くので、空気の流動がある場所を嫌う。この習性を防蟻に役立てているのが城東テクノ(大阪府枚方市)の「Jotoキソパッキング工法」(以下、キソパッキング工法)だ。
住宅を長持ちさせるには、引き渡し後のシロアリへの対策も重要だ。新築住宅だけでなく、布基礎が使われていた時代の住宅にも手厚い蟻害対策が求められる。