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「ベタ基礎はシロアリに強い」。そんな油断は絶対に禁物だ。ベタ基礎を導入した住宅でも、シロアリはわずかな隙間をついて侵入する。特に多いのが玄関まわりの被害だ。

 「最近、戸建て住宅のシロアリ被害の様子が、以前とは様変わりしてきた」

 そう指摘するのは、リフォーム会社、カーサテック(東京都大田区)の葉山良二代表だ。ベタ基礎が普及する前と後とで、シロアリ被害の発生する場所が変わったと葉山代表は指摘する。

布基礎とべた基礎で違い

 下は、ベタ基礎が普及する以前に建てられた住宅のシロアリ被害だ〔写真1〕。布基礎を採用した築35年の住宅のリフォーム工事で蟻害が見つかった。葉山代表が在来工法の浴室をシステムバスに交換するために壁を剥がしたところ、根元をシロアリに食われて宙に浮いた状態の柱が現れた。

〔写真1〕布基礎時代は水まわりが弱点
〔写真1〕布基礎時代は水まわりが弱点
布基礎採用の築35年の木造住宅。浴室でシロアリ被害が見つかった。柱の根元がシロアリに食われて宙に浮いている(写真:カーサテック)
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 一方、写真2の事例は、ベタ基礎を採用した築18年の戸建て住宅をリフォームした際に発見したシロアリ被害だ。

〔写真2〕ベタ基礎では玄関まわりで多発
〔写真2〕ベタ基礎では玄関まわりで多発
ベタ基礎採用の築18年の木造住宅。玄関扉の室内側の造作材がシロアリ被害を受けた。ベタ基礎導入後の比較的新しい住宅では、このように玄関まわりで蟻害が見つかることが多い(写真:カーサテック)
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 こちらは、玄関まわりに被害が集中した。玄関扉の木製枠に接している造作材を触ったところ、柔らかくて手応えがなかったため、居住者の了解を得て剥がしたところ、シロアリの被害が玄関扉の上端まで達していた。

 葉山代表は2つの事例を比較して「布基礎を採用した時代の住宅では、浴室やキッチンなど水まわりで蟻害が発生することが多かった。それに対して、ベタ基礎を採用した最近の住宅では玄関まわりで蟻害が発生するケースが多い」と指摘する。

「埋め戻し土から侵入した」

 写真2の事例で玄関まわりに被害が集中したのは、玄関扉の木製枠が地面に接していたからだ〔図1〕。

〔図1〕玄関扉の高さを揃えるために土を埋め戻す
〔図1〕玄関扉の高さを揃えるために土を埋め戻す
玄関扉の室内側の造作材が蟻害を受けた(写真上)。原因は、玄関扉の木製枠が埋め戻し土と接していたこと(中図)。木製枠や造作材がシロアリの餌食になった(資料:取材を基に日経ホームビルダーが作成)
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 玄関扉の室内側のたたきと屋外側のポーチには、それぞれ厚さ2~3cm程度の無筋コンクリートを打設していたが、玄関扉の木製枠は直接地面に接していた。ここから容赦なくシロアリが侵入した。木製枠やそれに隣接する造作材がシロアリの餌食になった。

 葉山代表は「恐らくこの住宅を建設した際、玄関まわりの工事が一番最後に残ったのではないか。住宅会社は、玄関扉の下枠の高さに揃えるために、ポーチから玄関のたたきまでをいったん土で埋め戻し、その上に無筋コンクリートを打設したのだろう。この埋め戻し土が格好の侵入経路になった」と分析する。

 ただし、玄関まわり以外の部分では、床下で十分な換気を確保していたこともあり、シロアリ被害は見られなかった〔写真3〕。玄関まわりが狙い撃ちされた格好だ。

〔写真3〕玄関まわり以外は無事
〔写真3〕玄関まわり以外は無事
この住宅では、玄関まわり以外の場所で蟻害はなかった。基礎と土台に基礎パッキン工法を採用して十分な換気量を確保したこともあり、床下は健全な状態だった(写真:カーサテック)
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