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POINT2 床下の乾燥
大風量の温風で早く乾かす

 自宅が床上浸水した信州大学の中谷岳史助教は約20日間で、ぬれた土台などの含水率を18%以下まで下げた。床板とポリスチレン系断熱材を剥がさずに、床断熱の布基礎を住みながら乾かした。

 エアコンで室内の温度を24℃に設定し、24時間運転の送風ファンで床下に引き込み、床下換気口から排出する方法を採用した〔図1〕。最初は大風量の送風ファンを1台ないし2台、床下で動かし、おおむね乾燥してからは階段室に新設した一般的な風量の換気システムに切り替えた〔写真5〕。

〔図1〕床下に温風を入れて外に排気する
〔図1〕床下に温風を入れて外に排気する
中谷助教が床断熱の自宅の床下で採用した乾燥方法。床下の湿気を室内に拡散させないよう、ファンの設置角度に注意を払った(資料:取材を基に日経ホームビルダーが作成)
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〔写真5〕大風量で乾燥を促進する
被災から3日後に和室の床下に置いた送風ファン。乾燥を急ぐため1台で1000m<sup>3</sup>/時の風量を出せる機種を使った(写真:中谷 岳史)
被災から3日後に和室の床下に置いた送風ファン。乾燥を急ぐため1台で1000m3/時の風量を出せる機種を使った(写真:中谷 岳史)
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床下がおおむね乾燥した後に階段室の床に設置した一般的な24時間換気システム。風量は150m<sup>3</sup>/時で、床下6回分の換気量に当たる(写真:中谷 岳史)
床下がおおむね乾燥した後に階段室の床に設置した一般的な24時間換気システム。風量は150m3/時で、床下6回分の換気量に当たる(写真:中谷 岳史)
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 「短期間で乾燥させるには、温度を上げて風量を大きくする必要がある。床下から排気することで、湿気やカビの室内拡散を防ぐ効果もある」と中谷助教は説明する。ショートサーキット防止のためにファンの付近にある床下換気口を閉じる点もポイントだ。

 応急処置に詳しい技術ボランティアたちは主に、温風ではなく、外気を送風ファンやダクトで床下に送り込む方法を採用している。乾燥期間は温風より長くなるが、自然乾燥よりは短縮できると判断している〔写真6〕。

〔写真6〕乾いていない箇所に強制送風
〔写真6〕乾いていない箇所に強制送風
水分量が高い箇所にダクトで風を送って集中的に乾かしている様子(写真:日経ホームビルダー)
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水分計で建材の水分量を測っているところ。製品はCEMのDT-128M(写真:日経ホームビルダー)
水分計で建材の水分量を測っているところ。製品はCEMのDT-128M(写真:日経ホームビルダー)
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 建築士で建築相談に応じる建物修復支援ネットワークの長谷川順一代表は、木部の乾燥度合いを機器で測定し、乾燥が遅れている箇所へ重点的に送風して乾燥期間の短縮を図っている。

 風組関東では送風ファンに漏電遮断装置を取り付けて、24時間連続して送風できるようにしている〔写真7〕。「乾燥期間は1カ月以上かかる」と住民に説明。乾き具合は浸水時間などの条件でも変わる。木部の含水率が20%程度になるまでは続けることを薦めている。

〔写真7〕漏電遮断装置を付けて連続運転
〔写真7〕漏電遮断装置を付けて連続運転
風組関東が床下などの乾燥に活用する送風ファン。フレキシブルダクトにつなげる場合もある。漏電遮断装置を取り付けて、24時間連続でも安全に運転できるようにしている(写真:風組関東)
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