頻発する豪雨災害に備えて、浸水後の住宅被害を最小限に食い止める対策が急務だ。基礎、建材、工法、支援体制、初期対応の5つのテーマで、それぞれが抱えている課題と、解決に向けた提案をまとめた。
木造住宅が浸水被害で抱える第1の課題は、コンクリートの床下に水や泥がたまることだ。床板を剥がさずに水や泥を取り除くのは重労働なので、頼まれても作業を引き受けない清掃会社や建築会社、ボランティアセンターは少なくない。
この課題の対策は、床下で作業しなくても水や泥を排出できる基礎にすることだ。岡山県倉敷市の設計事務所、リスプ環境・都市建築研究所は、西日本豪雨以降に新築したベタ基礎の住宅で、浸水時に水を抜く排水口を取り付けた〔写真1〕。茨城県常総市の田島工務店は、浸水住宅の排水作業の苦労から、人通口の立ち上がりがない基礎を標準仕様にした。
課題1
2つ目の課題は建材だ。浸水の被災地ではぬれた建材が大量に捨てられ、修繕費用を拡大させている。
合板や繊維板でつくられた建具や階段は水に漬かると膨張や変形が生じ、ほとんど再利用されていない〔写真2〕。耐水性能があるはずの集成材が接着部分で剥がれて、交換したという話も聞いた。乾燥させれば再利用できる建材の開発が求められる。