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都市部に立つ築7年の木造住宅で雨漏りが発生。雨漏りリスクが高いとされる典型的な「軒ゼロ住宅」だった。しかし、住まい手はそのリスクを知らされていなかった。(日経ホームビルダー)

 今号は、昨今住宅業界で流行している「軒ゼロ住宅」の雨漏りトラブルを取り上げる。

 軒ゼロ住宅とは、軒の出が小さい、もしくは全くない住宅のこと。見た目はスッキリしたデザインだが、雨仕舞いの観点からはリスクが高い。筆者が手掛ける雨漏り調査では、築浅にもかかわらず雨漏りが生じている物件は、ほとんどが軒ゼロ住宅である。

 ここで紹介するのはその典型的な事例だ。築7年の木造住宅で、玄関脇の1階天井で雨漏りが発生した〔写真1〕。雨漏りした箇所の真上はルーフバルコニーで、ちょうど入り隅部となっていた。建築した工務店が既に倒産していたので、住まい手は建築時の設計者に調査を依頼したが、雨漏りの原因を特定できなかったので筆者に相談してきた。住まい手からは、住宅瑕疵担保責任保険を使って修繕したいとの要望があった。

〔写真1〕典型的な軒ゼロ住宅で雨漏りが発生
〔写真1〕典型的な軒ゼロ住宅で雨漏りが発生
雨漏りが発生したのは玄関脇の1階天井部分。その真上はルーフバルコニーになっていた(写真:神清)
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玄関の反対側でガルバリウム鋼板(溶融アルミ亜鉛メッキ鋼板)の外壁を見上げたところ。上端部の軒は出ておらず、典型的な軒ゼロ住宅だ(写真:神清)
玄関の反対側でガルバリウム鋼板(溶融アルミ亜鉛メッキ鋼板)の外壁を見上げたところ。上端部の軒は出ておらず、典型的な軒ゼロ住宅だ(写真:神清)
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