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 この建物は、重症心身障害児を受け入れ対象にした放課後等デイサービス施設〔写真1~6〕。愛知県みよし市のNPO法人「いきもの語り」が市内で運営している。木造2階建てで、延べ面積は382.6m2。名古屋市の住宅会社、阿部建設が手掛けて新築した。2019年3月に完成し、翌4月から稼働し始めた。

〔写真1〕スパン6間の無柱空間
〔写真1〕スパン6間の無柱空間
下屋部分(南西側)の活動室。長手方向は6間分のスパンで、せい300mmの小屋梁と同200mmの母屋を組み合わせて確保した。室内は小屋梁などの一部を現しに(写真:阿部建設)
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〔写真2〕活動室2室を開放的につなぐ
〔写真2〕活動室2室を開放的につなぐ
隣接する活動室2室は大きな開口の仕切り戸でつながっており、職員が行き来がしやすい。仕切り戸は特注の木製引き戸で、利用状況に応じて開け閉めする(写真:阿部建設)
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〔写真3〕開放感をもたらす階段室
〔写真3〕開放感をもたらす階段室
建物入り口と階段室はつながっており、吹き抜けになっている。土間と廊下の高さを揃えたバリアフリー仕様(写真:阿部建設)
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〔写真4〕各空間にもれなく収納配置
〔写真4〕各空間にもれなく収納配置
活動室など各空間にはそれぞれ、つくり付けの収納。こうした住宅流の配慮は福祉施設でも使いやすさにつながる(写真:阿部建設)
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〔写真5〕介助しやすさに配慮した広い浴室
〔写真5〕介助しやすさに配慮した広い浴室
福祉施設で、トイレや浴室(シャワー室)などの水まわりは、建物の使い勝手に直結する。介助しやすさを最重視し、動線や廊下の幅員、建具の開閉方式などを慎重に検討した(写真:阿部建設)
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〔写真6〕メンテしやすさに配慮した外装
〔写真6〕メンテしやすさに配慮した外装
屋根と外壁は、溶融アルミ亜鉛メッキ鋼板とアクリル系仕上げ塗り材。メンテナンスのしやすさを考慮して、耐久性の高い材料を選定(写真:阿部建設)
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 施設特有の与件を背景に、建築に際して建て主からは、プランの面でいくつかの要望があった。要望の1つは、障害児の訓練やケアを行うメーンスペース「活動室」は壁のない広い空間を確保したうえで2室設け、相互に行き来しやすくすること。職員を含めて、最多時で10人以上が利用するからだ。

 次に、活動室を日常生活の中心に、トイレや浴室といった水まわり設備を職員が効率良く利用できる導線を確保すること。通所者のなかには、介助が必要な子どもも多く、車椅子利用者もいる。また水まわり設備自体、内部での介助がしやすいことも、建て主の重要な要望だった。

 こうした要望とともに、建て主が提示した建築費の予算は8000万円(最終的な建築費は約9000万円)。阿部建設の阿部一雄社長は、予算条件などを踏まえて、当初から木造在来工法による建築を考えていた。