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 賃貸集合住宅の開発で、「事業採算性への貢献」をウリに、木造戸建ての設計・施工技術を生かす──。首都圏で事業を展開する中小の設計事務所と工務店がタッグを組んで、こうした取り組みに挑んでいる。東京都江東区のLOM(エル・オー・エム)一級建築士事務所(以下、LOM)と埼玉県所沢市のこーき工房による取り組みだ。

〔写真1〕設計者と施工者がタッグ
〔写真1〕設計者と施工者がタッグ
左がLOM一級建築士事務所の山木康弘代表、右がこーき工房の小山幸哉専務(写真:日経ホームビルダー)
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 両者は都内の中小開発事業者が企画した賃貸集合住宅を既に2件手掛け、2020年2月には都内周縁部の住宅エリアに3件目が完成。3件目までに確立したスキームの概略は、下の図の通りだ〔図1〕。その基本コンセプトは、「階数上限は4階建てでエレベーターなし」「木造在来工法」「一般的な防耐火仕様」「建材・資材は一般流通材をメーンに」「性能認定を取得」という5項目に整理できる。

〔図1〕LOMとこーき工房が取り組む事業スキームの概要
〔図1〕LOMとこーき工房が取り組む事業スキームの概要
(資料:取材をもとに日経ホームビルダーが作成)
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 例えば「4階建てでエレベーターなし」とは、階段だけでも、入居者の物件選択で不利になりにくい階数とすることで、エレベーター設置に伴う材工費や完成後の維持管理費の負担を節約することが狙い。賃貸部分の専用面積拡大にもつながる。

 一般的な木造在来工法と防耐火仕様で建てるので、戸建て住宅を手掛ける工務店なら普段の延長で施工可能。建材・資材は一般流通材がメーンなので、材料調達に伴うコストや手間の増加を抑制できる。金融機関の融資審査で有利に働く効果を見込んで、性能認定も取得する。

 建て主の開発事業者にとってはイニシャルコストの抑制に加え、減価償却上の法定耐用年数が相対的に短い点なども含めて、短中期で利回りの良さを見込める。「三方一両得」を狙ったスキームだ。