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 中規模木造の計画では、慣れていないと過大にコストや工期が膨らんでしまうケースがある。「それを避けるうえでは、一般流通材を前提に構造計画を行うのが基本だ」と前橋市のプレカット会社、平方木材営業設計課の上原太郎課長は話す。

 まずは以下が基本になる。階高は、長さ3mもしくは4mの柱材を前提に決める。高さが不足するなら基礎高でも対処できる。梁は製材なら梁せい390mm以下、集成材なら450mm以下とし、スパンを6m以内に収めてそれ以上の長尺材はなるべく避ける。外壁面積が大きくなると、耐風性能を確保するために外周部の柱位置が密になるので注意する。

 また耐力壁は外周部に構造用面材を張り巡らせて、不足分は空間の邪魔にならない位置に袖壁などを配置して充足させる〔写真12図1〕。

〔写真1〕スギ製材で架構
〔写真1〕スギ製材で架構
小泉木材の自社倉庫兼工場。1階に工場と倉庫、2階は全体が倉庫。全てスギの製材で架構を組んでいる(写真:小泉木材)
〔写真2〕ラック寸法に合わせた袖壁
〔写真2〕ラック寸法に合わせた袖壁
図1と写真1の倉庫兼工場内部。ラックの寸法に合わせた袖壁を耐力壁にして壁量を確保(写真:小泉木材)
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〔図1〕袖壁を利用して耐力壁を充足
〔図1〕袖壁を利用して耐力壁を充足
(資料:小泉木材)
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工夫の余地は様々に

 こうした基本を押さえたうえでさらに様々な工夫もできる。「例えば作業性を向上させるためには、床勝ちで壁倍率の認定を取得している面材を使うといい」〔写真3〕。木材販売会社で建築事業も手掛ける小泉木材(横浜市)の小泉武彦社長はこう話す。

〔写真3〕耐力壁の工夫例
〔写真3〕耐力壁の工夫例
中規模木造向けの既成金物で施工した木ブレースの耐力壁(写真:マルダイ)
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床勝ちで倍率の認定を得た構造用MDFによる間仕切り部分の耐力壁(写真:小泉木材)
床勝ちで倍率の認定を得た構造用MDFによる間仕切り部分の耐力壁(写真:小泉木材)
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 平方木材の上原課長は、大開口を確保する手法を次のように述べる。「まず幅455mmで認定を取得した耐力壁を検討し、次に壁倍率を取得している門型フレーム工法を検討する。それらで要件を満たせない場合に高価なラーメン構造を検討する」

 接合部にも工夫が必要だ。戸建て住宅と同様に「プレカット仕口+Zマーク認定金物」が使えれば、最も安価で済む。金物工法を使う場合は費用がかさみ、柱載せの納まりができない分、梁断面が増えて材積もかさむ〔写真4〕。「規模にもよるが、金物工法は、力が掛かる部分に限定して用いるのが経済的」(プレカット会社マルダイの功刀くぬぎ友輔プレカット事業部アドバイザー)

〔写真4〕在来の仕口で材積減らす
〔写真4〕在来の仕口で材積減らす
金物工法では写真のように、片側の梁を柱に載せて断面の異なる梁をつなぐことができない。太い方の梁に断面を合わせることになるので材積が増える(写真:小泉木材)
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 一定以上のスパンが必要な計画では金物工法がベースになる。この場合、特注金物はできるだけ使わないように計画することが、コストを抑えるうえで重要なポイントだ。