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(イラスト:高松 啓二)
(イラスト:高松 啓二)

 「買い主に、外壁の大きなひび割れの補修費を負担いただく分を見込んで、売買価格を査定より下げて3500万円にしませんか」

 「やはり価格を下げないと契約は難しいですか」

 「外壁のひび割れを気にする買い主は多く、その場合は大抵、補修費相当分の値引き交渉になります。現地案内時にひび割れに気付かなくても、契約後に気付いて契約不適合責任を問う買い主もいます。その段階で、先方から減額や契約解除を持ち出されるより、最初からその分を値引きした価格を提示する方が、交渉をスムーズに進められます」

 「分かりました。そういうことならその価格で結構です」

 これは、数カ月前に筆者が中古住宅の売却を仲介したときの売り主とのやり取りだ。

 筆者は、物件状況等報告書にひび割れがあることを明記し、売買契約書に補修費用に相当する分を値引きしたことを記した。筆者の予想どおり、買い主は外壁のひび割れを気にしていたが、補修費用の相当額を値引きしたことを知って納得。無事に契約を結ぶことができた。