
「やっと買い主がついて喜んでいたのに、購入希望者が申し込んだ住宅ローンの審査が通りませんでした。本人の支払い能力が問題ではなく、住宅が違法建築だから融資できないと金融機関に言われたそうです。私も売り主として責任を感じています。相談に乗ってくれますか」
これは、築12年の自宅を売却しようとした売り主から筆者に寄せられた相談だ。住宅を気に入ってくれた人が現れ、地元の信用金庫で住宅ローンを組もうとしたところ、融資を断られたという。このため、売買契約に至らず話はご破算になった。
購入希望者から相談を受けた信用金庫の担当者は「登記簿の土地面積と建物面積を基に計算すると建ぺい率、容積率とも基準値をオーバーするのでこの住宅は違法建築だ。融資はできない」と言ったそうだ。
この話を聞いた売り主は驚いた。まさか自宅が違法建築とは思わなかったからだ。住宅ローンが下りないままでは、なかなか買い手はつかないだろう。
売り主が建設時の建築確認済み証を確認すると、こちらは建築基準法の法定容積率に収まっていた。なぜ、登記簿と確認済み証の数値が食い違っているのか。売り主は不動産の仲介会社に問題の解決を求めたが「金融機関に違法建築と言われたらお手上げです」と逃げられてしまった。困った売り主は筆者のところへ相談に来た。