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自分の通った小学校の校区に商圏を絞り込み、認知度を高めることに注力。徒歩圏内でのポスティングやイベント開催などで「顔の見える関係」を築いた。同時に下請けから元請けに転換した。

 正田工建(大阪府堺市)の正田達世誌社長は大工出身〔写真1〕。2001年に独立してから10年ほど大手住宅会社や不動産会社からの下請け工事だけを受注してきた。「このままでは先がない。元請けの立場にならなくては」と決意したのが11年3月。当時の売り上げは約1億円だった〔図1〕。

〔写真1〕絶えず地図を見ながら商圏を確認
〔写真1〕絶えず地図を見ながら商圏を確認
正田社長は地図を眺める習慣がある。どこに住宅が多く、人の流れはどうか。新規施設ができたら商圏を見直す(写真:渡辺 圭彦)
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〔図1〕商圏絞りと下請け脱出を同時並行で
〔図1〕商圏絞りと下請け脱出を同時並行で
2011年に商圏を絞り、下請けから元請けへの脱皮も図った。19年は元請けのみで新築7棟を受注した(資料:日経ホームビルダー)
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知人の多いエリアを深掘り

 正田社長は元請け各社に「もう下請けはしない」と連絡し、退路を断った。そして目を向けたのが、自らが生まれ育った小学校の校区だ。「仕事を発注してもらうには、まず存在を知ってもらうこと。ならば自分のことを知っている人たちがたくさんいるエリアに商圏を絞ろう」と考えた。

 古くからの人脈を生かすことができるうえ、顧客の家族構成や交友関係も把握しやすい。地縁が強い分、紹介受注も期待でき、販促費を抑えられるはずだ〔図2〕。

〔図2〕商圏を絞って得たメリット
〔図2〕商圏を絞って得たメリット
自分が卒業した小学校の校区に商圏を絞り込むことで、地縁や血縁をフル活用。父の代からの知り合いも多い(資料:日経ホームビルダー)
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 16年には、より地元の人がアクセスしやすい道路沿いの場所に社屋を移転。そのうえで、新社屋から半径約1km圏内を商圏エリアに定めた〔図3〕。「人が日常的に顔見知りになれる距離は、徒歩で移動できる範囲内だ」。正田社長はそう考えたのだ。

〔図3〕半径1km以内が主要商圏
〔図3〕半径1km以内が主要商圏
現社屋と旧社屋との距離は約1km。現社屋を中心にこの距離を半径とするエリアを商圏に設定した。正田社長やその子どもたちが通った小学校の校区と重なる。日常的に地域の住人と交流できる強みを生かすことができる(資料:日経ホームビルダー)
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