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社員数は14人。これだけの陣容で商圏絞りに挑んで失敗すれば、余剰人員を生みかねない。しかし、リスク承知で商圏を絞り込み、顧客満足度の向上に努めて成果を上げた。

 諸橋工務店(新潟市)が商圏の絞り込みを始めたのは2004年のこと。元々、公共土木が中心だったが徐々に住宅事業にシフト。受注範囲が新潟市全域に広がり始めた時期だった。当時社長だった諸橋敏松会長がアフターサービスの低下を懸念。「車で1時間」だった商圏を「車で30分」に絞り込んだ〔写真1図1〕。

〔写真1〕15年前に商圏を絞りブレずに実行
〔写真1〕15年前に商圏を絞りブレずに実行
澤井社長(左)と諸橋会長(右)。15年前、諸橋会長が、会社から車で1時間以内だった商圏を30分以内に絞り込んだ(写真:渡辺 圭彦)
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〔図1〕秋葉区を中心に受注
〔図1〕秋葉区を中心に受注
赤丸内が現在の商圏。なかでも社屋のある秋葉区内の約2万世帯が主要な顧客対象だ(資料:日経ホームビルダー)
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 絞り込んだ商圏はcase2の森川住宅と似た広さ。しかし、森川住宅の社員数は5人で諸橋工務店は14人。この陣容で商圏を絞り込んで受注を減らせば、余剰人員を生みかねない。社内から反対の声が上がったが、諸橋会長は押し切った。結果的にその経営判断は正しかった。それから15年を経た現在、年間受注棟数は7棟から15棟へと倍増している〔図2〕。

〔図2〕商圏絞りで受注棟数は2倍以上に
〔図2〕商圏絞りで受注棟数は2倍以上に
商圏を絞ることで顧客満足度を高め、OB顧客や知人からの紹介率が約86%まで向上。受注棟数は倍増した(資料:日経ホームビルダー)
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