社員数は14人。これだけの陣容で商圏絞りに挑んで失敗すれば、余剰人員を生みかねない。しかし、リスク承知で商圏を絞り込み、顧客満足度の向上に努めて成果を上げた。
諸橋工務店(新潟市)が商圏の絞り込みを始めたのは2004年のこと。元々、公共土木が中心だったが徐々に住宅事業にシフト。受注範囲が新潟市全域に広がり始めた時期だった。当時社長だった諸橋敏松会長がアフターサービスの低下を懸念。「車で1時間」だった商圏を「車で30分」に絞り込んだ〔写真1、図1〕。
絞り込んだ商圏はcase2の森川住宅と似た広さ。しかし、森川住宅の社員数は5人で諸橋工務店は14人。この陣容で商圏を絞り込んで受注を減らせば、余剰人員を生みかねない。社内から反対の声が上がったが、諸橋会長は押し切った。結果的にその経営判断は正しかった。それから15年を経た現在、年間受注棟数は7棟から15棟へと倍増している〔図2〕。