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 民間(七会)連合協定工事請負契約約款委員会や住宅リフォーム推進協議会といった業界団体が作成する契約約款は、国土交通省の標準約款と改正民法に対してほぼ同じスタンスだといえる。一方で、住宅会社の中には独自の契約約款を用意するところも少なくない。

 匠総合法律事務所は、同事務所が作成した工事請負契約約款の「モデル契約約款」を書籍で公開。標準約款とは、見解の異なる条項もある。同事務所の秋野卓生代表社員弁護士は、「だれの立場でつくるのかによって約款は異なる」と説明する。

 例えば、モデル契約約款では、契約不適合の対象として「種類、品質又は数量」と規定する〔図1〕。それに対して標準約款では「種類又は品質」と、「数量」を含まない〔図2〕。

〔図1〕「種類、品質又は数量」が対象
〔図1〕「種類、品質又は数量」が対象
匠総合法律事務所が作成した「モデル契約約款」(初版)。「数量」も契約不適合の対象に含める。書籍の改訂版では、この条項も改訂している(資料:匠総合法律事務所の資料を基に日経ホームビルダーが作成)
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〔図2〕標準約款は「種類」「品質」のみ
契約不適合の対象 種類 品質 数量
匠総合法律事務所のモデル契約約款(第21条1項)
国土交通省の標準約款(第23条1項)
国交省の標準約款では、契約不適合の対象を「種類又は品質」としており、「数量」を入れていない(資料:取材を基に日経ホームビルダーが作成)

 建築工事の請負では通常、数量が単独で問題になるケースがほとんどない。例えば鉄筋の数量が足りなかったら、たいてい数量よりも品質の問題になる。標準約款は、数量は品質でカバーできるという判断で、契約不適合の対象から外している。

 この場合、契約不適合の責任期間を約款で「引き渡しから2年」と規定しても、数量にはそれが適用されない可能性がある。つまり、数量については責任期間が改正民法の規定である「引き渡しから10年か知ってから5年の短いほう」となり、引き渡しから2年を超えても数量について請求できるとの解釈もあり得るのだ。

 その点を考慮し、モデル契約約款では万一、トラブルが生じたときに数量で請求されるのを防ぐため、契約不適合の対象に数量を加えた。