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住宅業界を苦しめる新型コロナウイルス。工事現場や営業活動にどんな影響が出ているのか。東京、京都、福岡にそれぞれ拠点を構える住宅会社の社長に話を聞いた。

〔図1〕ウィズコロナ期の営業戦略を模索する3人の経営者
〔図1〕ウィズコロナ期の営業戦略を模索する3人の経営者
誌上対談には3人の経営者が参加。東京都江戸川区の田中工務店(社員数8人、年間建設棟数8棟)、京都市の片山工務店(社員数7人、年間建設棟数3棟)、福岡市の健康住宅(社員数97人、年間建設棟数約100棟)の各社長がコロナの影響を語った(写真:日経ホームビルダー)
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まず、工期の遅れなど生産現場への影響についてお聞きします。東京の田中さんはどうですか。

田中工務店 田中 健司社長(写真:日経ホームビルダー)
田中工務店 田中 健司社長(写真:日経ホームビルダー)
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田中 緊急事態宣言の期間中、当社では3棟の新築現場を抱えていましたが、幸いなことに今のところ工期への影響は出ていません。

 工期に関してお客様の意向を確かめたところ、「コロナと関係なく住宅ローンの支払いが始まるし、子供の転校や入学時期とも重なるので、工期は必ず守ってほしい」と要望されました。どこのお宅も工期の厳守が至上命題でした。

 ただし、万が一の場合も考慮して、コロナの影響で工期の遅延が生じても、遅延損害金は発生しない旨を記した合意書を取り交わしておきました。

 工期を守るうえで心配だったのが、住宅設備機器の調達です。キッチンやシステムバスは早めに発注したので何とかなりましたが、食洗機を国内メーカーから調達できる見通しが立ちませんでした。そこで、ボッシュ社やミーレ社など海外メーカーから調達して乗り切りました。

 これまでグレードの高い住宅を設計する際、積極的に海外メーカーの製品を取り入れ、調達ルートを広げる努力をしてきました。それが今回役に立ちました。

畑中 確かにそれは重要ですね。当社も住設機器の多様な調達ルートを持っていたことが幸いしました。もともと、いわゆる高級仕様の住宅に力を入れてきたので、導入する設備や什器、備品などは少量生産品が中心です。それもあって、今回も他社と競合せず無理なく調達できました。

 当社は福岡市ですが、九州の一部地域では、汎用品タイプの住設機器が不足し、住宅会社同士の奪い合いが生じたそうです。大手が先に汎用品の設備を抑え、中小工務店の調達に支障が出たケースもあったと聞きます。こうしたリスクを避けるためにも、日ごろから調達ルートを広げておくことが大切です。

畑中さんは年間約100棟の新築住宅を手掛けていますね。工期の遅れは出ていませんか。

健康住宅 畑中 直社長(写真:日経ホームビルダー)
健康住宅 畑中 直社長(写真:日経ホームビルダー)
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畑中 住設機器の調達がうまくいったおかげで、これまでのところ工事は予定通り進んでいます。

 それより心配なのは、工事現場の感染リスクです。社員や大工、協力会社のなかに感染者が出たら大変なことです。工期への影響もさることながら、風評被害が広がって企業イメージを損なうことになりかねない。

 ですから、現場でのアルコール消毒やマスク着用は口うるさいくらい徹底させています。現在、感染は収束傾向ですが、第2波、第3波の感染拡大も懸念されるので、全く気が抜けない状況です。