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同じ床面積でも、建物形状によって冷暖房費や工事費は大きく異なる。熱損失を少なく、かつ日射取得を大きくできるのは、平面が「A4用紙」のようなちょっと東西方向に細長い長方形で、総2階に近い建物形状だ。(日経ホームビルダー)

 建物形状と省エネ性能などの関係を単純化するために、立方体8個でつくったA、B、Cの3種類の住宅を考えます。立方体の1つの面の面積を「1」とすると、いずれも延べ床面積「8」の住宅です〔図1〕。

〔図1〕同じ延べ床面積でも熱損失が変わる
〔図1〕同じ延べ床面積でも熱損失が変わる
建物形状による表面積や熱損失、基礎・屋根面積の違い。表面積と基礎・屋根面積は立方体の1つの面の面積を「1」とした。熱損失はAを「1」としたときの比率(資料:松尾設計室の資料を基に日経ホームビルダーが作成)
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 表面積はAの住宅が「24」に、Bが「28」に、Cが「34」になります。3つとも同じ断熱性能(UA値)とすると、熱損失は表面積に比例するので、Cの住宅はAの約1.5倍になります。ということは、冷暖房費も単純に言えば約1.5倍になるわけです。

 それだけではありません。Aの住宅は基礎も屋根も面積はそれぞれ「4」です。Cの住宅はそれぞれ「8」となります。一般的に基礎と屋根は壁や床などと比べて工事費が高いもの。「平屋は高い」と言われるゆえんです。

 同じ容積の場合、最も表面積が小さい形状は「球」です。しかし、球の形をした住宅をつくるのは現実的に不可能です。そこで、一般的な住宅で最も熱損失が少なくなる形状を考えると、立方体に近くなります〔図2〕。

〔図2〕熱損失が少ない形状は立方体
〔図2〕熱損失が少ない形状は立方体
同じ容積の場合、最も表面積が小さい形状は「球」だが、住宅では現実的に不可能。一般的な住宅で最も熱損失が少なくなる形状は立方体になる(資料:松尾設計室の資料を基に日経ホームビルダーが作成)
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 延べ床面積にもよりますが、一般的な規模の住宅ならば正方形平面の総2階建て、それより大きめの住宅であれば正方形平面の総3階建てが立方体に近い形状になります。

 熱損失だけを見ればこれで終わりなのですが、家の暖かさはそれだけでは決まりません。