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建て主の要望を満たすように住宅を設計する際、設計者の技術力が十分でないと床面積が無駄に増え、建物の平面や外観が凹凸の目立つ形状となりやすい。省エネ性能やコスト、雨漏りなどのリスクを総合的に考慮するなら、できるだけ床面積を小さく、整った形状を心掛けることが大切だ。(日経ホームビルダー)

 戸建て住宅を設計する場合、建て主からの要望は多岐にわたります。それを、予算も満たしながらまとめるのが設計者の仕事です。このとき、設計者の技術力が十分でないと、要望を満たすうちにどんどん面積が大きくなりがちです。

 さらに、要望に合わせて間取りをまとめていく過程で、屋根や壁面などの建物形状が複雑になることも少なくありません。実際、戸建て住宅で外観の凹凸が目立つ例はよく見かけます。

 面積を抑えつつ、ボコボコの建物形状にならないようにするには、プランに取りかかる前の準備が大切です。まずは敷地の「等時間日影図」を作成し、駐車スペースと建物のおおまかな配置関係を考え抜きます。この段階では、外形の平面を長方形か、それに準ずるシンプルな形状にとどめておきます〔図1〕。

〔図1〕プランニングに入る前の準備が大切
〔図1〕プランニングに入る前の準備が大切
プランに取りかかる前のイメージ。まずは敷地の「等時間日影図」を作成し、駐車スペースと建物の配置を検討する(資料:松尾設計室の資料を基に日経ホームビルダーが作成)
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 そこから初めて、プランニングに入ります。心掛けるのは、建て主の要望を満たしつつ、できるだけ小さい面積で収めること。延べ床面積の増加は、施工コストのアップにつながるからです。

 面積を抑えるには具体的なノウハウがあります〔図2〕。例えば、「廊下は極力少なくする」「クロークの奥行きは60~70cmに収める」「階段の上がり切り位置をできるだけ平面の中央部に近づける」といった手法です。これらは、無駄な面積を生じやすい箇所です。

〔図2〕廊下やクロークは無駄を生じやすい
〔図2〕廊下やクロークは無駄を生じやすい
面積を抑えて建て主の要望を満たすノウハウ。廊下やクロークなどは無駄な面積を生じやすい箇所。視線の抜けをつくるなど、実際の面積より広く感じられる工夫も有効だ(資料:松尾設計室の資料を基に日経ホームビルダーが作成)
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 目の錯覚を利用する手も有効です。屋内に立ったときに視線が抜ける空間を上下、左右に設けると、実際の面積よりも広く感じるようになります。上下方向の吹き抜けや平面上の「抜け」を設けるのがそうした例です。