大地震に遭遇した際、住宅が損壊しても住まい手の命は守る――。それが、建築基準法の耐震基準の基本的な考え方だ。しかし、ひとたび自宅が全壊すれば、住まい手は避難所生活を強いられる。避難所ではインフルエンザや新型コロナウイルスの感染リスクが潜む。もはや命を守るだけでは不十分。求められるのは地震後も住み続けられる住宅だ。そのニーズに応えるには、品確法の耐震等級3が新しいスタンダードになる。

特集
耐震等級3が新標準!
震災後も住み続けられる住宅を
目次
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住み続けられる家が命救う
令和2年7月豪雨では、避難所に身を寄せる住民が感染症リスクにさらされた。大災害後も、安心して自宅に住み続けることができる──。住宅の耐震性能でも、その重要性が一段と高まっている。
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3階建てこそ等級3の導入を
都心で増える3階建て住宅。木構造の専門家の間では「耐震等級1の3階建ては危険」と危惧する声が多い。リスクが高い3階建てだからこそ、等級3を導入する価値は大きい。
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激震地で立証した耐震性能
熊本地震で耐震等級3の住宅はどの程度の被害で済んだのか。福岡市の住宅会社、エコワークスは激震地に立つ自社施工の住宅2棟を、震災後に徹底調査した。今後の家づくりに生かす狙いだ。
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耐震と意匠の両立に心砕く
3年前に耐震等級3の標準化を決めた。しかし、自社設計は1割で、残る9割は他社の設計事務所などからの受注工事。等級3の比率を高めるには、耐震性能に関心を持つ設計者との協働が不可欠だった。
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耐震等級3は当然の最低ライン
五十田さんは、2016年の熊本地震の被災地を継続的に調査されています。その結果を踏まえ、2000年基準(耐震等級1)で建てた住宅の耐震性能をどう評価されますか。