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令和2年7月豪雨では、避難所に身を寄せる住民が感染症リスクにさらされた。大災害後も、安心して自宅に住み続けることができる──。住宅の耐震性能でも、その重要性が一段と高まっている。

 熊本県のほか日本各地に甚大な被害をもたらした令和2年7月豪雨は、死者78人を数える大惨事となった(2020年7月24日時点)。

 今回の災害が従来と異なるのは、避難所に身を寄せる被災者が、新型コロナウイルスの感染リスクにさらされていることだ〔写真1〕。

〔写真1〕避難所にもリスク、改めて浮かぶ住宅性能の重要性
〔写真1〕避難所にもリスク、改めて浮かぶ住宅性能の重要性
令和2年7月豪雨の被害を受け、熊本県人吉市に設けられた避難所に身を寄せる住民。新型コロナウイルス対策として、簡易的なパーティションを設けて、相互の間隔をとっている。避難所は、感染症リスクとも隣り合わせの空間だ(写真:毎日新聞社/アフロ)
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 実は、避難所での感染症リスクは今に始まったことではない。1995年の阪神・淡路大震災では、避難所でインフルエンザがまん延した。兵庫県で震災で亡くなった6402人のうち、約350人が震災後に避難所でインフルエンザに感染し、循環器系疾患や呼吸器系疾患、既往症などを悪化させて亡くなったとみられている〔図1〕。

〔図1〕阪神・淡路大震災では避難所でインフルがまん延
〔図1〕阪神・淡路大震災では避難所でインフルがまん延
阪神・淡路大震災の兵庫県内の死者数。避難所でインフルエンザに感染し、循環器系疾患や呼吸器系疾患、既往症の悪化などを招いて死亡した人が350人前後いるとみられる(資料:上田耕蔵・神戸協同病院院長「震災関連死におけるインフルエンザ関連死の重大さ」を基に日経ホームビルダーが作成)
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 避難所は決して安全な場所ではない。感染症リスクと背中合わせの危険な空間だ。これからの住宅実務者は、住まい手が震災や洪水の被害に遭遇しても、避難所に行かなくて済むよう、継続して居住できる住宅を提供しなくてはならない。