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蛇口に触らなくても水がサッと流れてサッと止まる。コロナ禍でタッチレス水栓の清潔さに注目が集まっている。特にニーズが拡大しているのがキッチン向け。リフォーム時の交換需要も旺盛だ。

 換気と並び、コロナ禍で関心が高まっているのが手洗いだ。細菌やウイルスが付着しているリスクを考え「手を洗う時には水栓に触れたくない」と考える人が増えてきた。

 LIXILは2020年9月10日にオンライン説明会を開き、タッチレス水栓の販売が絶好調だとアピールした。20年4月から6月の同社のタッチレス水栓の売り上げは、前年同期比で43%増だ。特に伸びているのがキッチン向けで、足元の20年7月の売り上げは前年比で82%増を記録した。

キッチン向けが需要を牽引

 同社のキッチン向けタッチレス水栓の主力は15年発売の「ナビッシュハンズフリー水栓」だ〔写真1〕。

〔写真1〕キッチン向けのタッチレス水栓の需要が拡大
〔写真1〕キッチン向けのタッチレス水栓の需要が拡大
LIXILでは、2020年7月のキッチン向けタッチレス水栓の売り上げが、前年比で82%増となった。上は同社のキッチン向けタッチレス水性の代表的な製品「ナビッシュハンズフリー水栓」(写真:日経ホームビルダー)
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 この製品のセンサーは、水栓のパイプの頂部付近と吐出部付近の2カ所に付いている。頂部付近のセンサーに手をかざすと吐水が始まり、再度手をかざすと止水する。その間、連続的に水が流れる。このセンサーは、青ランプと赤ランプの部分に分かれている。青ランプ側に手をかざすと浄水が流れ、赤ランプ側では通常の湯水が流れる。

 一方、吐出口付近のセンサーは、対象物との距離を検知する測距センサーと、動きを感知する動体センサーを内蔵している。シンクに直接置いている皿などには反応せず、動いているものや吐水口の近くにあるものに反応して自動で吐水する。

 同社はリフォーム需要に対応するため、19年に「乾電池式キッチンナビッシュ」の販売を開始した〔図1〕。電源を確保できないキッチンでの利用を想定した製品で、1回の電池交換で1年間持つように消費電力を抑えている。コロナ禍で最も販売台数が伸びているのが、この乾電池式だ。

〔図1〕乾電池式でリフォーム需要にも対応
〔図1〕乾電池式でリフォーム需要にも対応
電源を確保できない場所でのリフォーム需要に対応するため、キャビネットを開けた所に電池ボックスを設置する「乾電池式キッチンナビッシュ」を19年に発売した(資料:LIXIL)
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 乾電池式キッチンナビッシュのメーカー希望小売価格は8万8000円。同社の通常のキッチン水栓の価格はシャワーなしが約3万円、シャワー付きが約6万円だ(いずれも税別)。通常のシャワー付き水栓と安価なタッチレス水栓の価格差は、2~3万円まで縮小している。

 同社は、キッチン向けだけでなく洗面化粧台向けに「洗面ナビッシュ」を販売している。自動吐水と手動吐水の切り替えが不要なハイブリッドタイプの製品だ〔写真2〕。手洗いには自動、ホースを引き出して使う場合には手動といった使い分けも可能だ。タッチレス水栓の需要拡大は今後も続きそうだ。

〔写真2〕自動と手動を使い分け
〔写真2〕自動と手動を使い分け
洗面化粧台向けの「洗面ナビッシュ」は、自動吐水(左)と手動吐水(右)の切り替え操作が不要。手洗いは自動、ホースを引き出す場合は手動といった使い分けが可能(写真:LIXIL)
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