全1528文字
PR

「暗黙の耐用年数30年からの脱却」。こうしたスローガンを掲げて、日本木造住宅産業協会は耐用年数60~100年の高耐久住宅を実現する研究に取り組む。2020年8月に外皮に関する報告書を発表した。

 日本木造住宅産業協会(木住協)は「資産価値のある高耐久住宅研究ワーキンググループ」(以下、WG)を2019年10月に設置。耐用年数60~100年を目標に、持続可能なストック社会を支える高耐久住宅の普及促進に関する研究を続けている。「暗黙の耐用年数30年からの脱却」をスローガンに掲げて、WGが最初に取り組んだ研究テーマは、外皮性能だ〔図1〕。

〔図1〕高耐久住宅の共同研究
〔図1〕高耐久住宅の共同研究
木住協が立ち上げたWGの全体図
[画像のクリックで拡大表示]
20年8月に発表した報告書。WGの主査は東海大学の石川廣三名誉教授で、石川名誉教授ら研究者も会員が実施した性能検証の一部に関わった(資料:日本木造住宅産業協会)
20年8月に発表した報告書。WGの主査は東海大学の石川廣三名誉教授で、石川名誉教授ら研究者も会員が実施した性能検証の一部に関わった(資料:日本木造住宅産業協会)
[画像のクリックで拡大表示]

 「木造戸建て住宅の耐用年数は30年という“暗黙の思い込み”が住宅会社に根強く残っている。新築でも耐久性の低い建材・資材、仕様がいまだに少なくない。そうした状況から脱却しないと、住宅の寿命を60~100年に延ばせない」。WGのリーダーを務めるエバー(東京都品川区)の江原正也代表はこう訴える。