2020年にアフターサポート部門を独立。コロナ禍で減少した顧客との対面機会を、木工教室や農業体験など住宅以外まで広げることで、以前よりさらに密接な形での“生涯顧客化”を目指す。
つむぎ建築舎(神戸市)の高橋剛志社長は、2020年1月にそれまでの「すみれ建築工房」から社名を変更した〔写真1〕。同時に組織改編を実施し、建築部門を「つむぎ建築舎」、顧客のメンテナンス部門を「つない堂」として独立させ、両社を運営する会社として「四方継(しほうつぎ)」を設置した。「つない堂」の設立は、住宅以外の顧客サポートのサービスを充実させることが目的だ。
「これからの時代、顧客に対して住宅のアフターサービスをするだけでは不十分だ。健康増進や自然体験活動など、住まい手の生活を豊かにする総合的なケアサービスを提供する必要がある」。それが高橋社長が目指す新しい会社の姿だ〔図1〕。
もともと同社は00年に高橋社長を含む3人の大工で創設された。05年頃からはOB顧客宅を年に1回無料点検して回る取り組みを始め、09年に顧客数が1000人を超えた頃から紹介受注やリピート受注だけで必要な売り上げを確保できるようになった。「OB顧客からの継続受注は生命線。自社の社員大工が点検に回ることで顧客との信頼関係を築いてきた」と高橋社長は言う。