住宅会社など建築依頼先に不満を抱いても、建て主は伝えないことがある。関係の悪化を懸念したり、伝えるほどではないと許容したりして、胸の内にしまい込んでいるのだ。建築依頼先に不満を抱く建て主の割合は増えている。コロナ禍も影響して建て主の家づくりに対する意識も変化。建て主が伝えない「沈黙の不満」をどれだけ解消できるのか、建て主対応はこれまで以上に難しくなっている。日経ホームビルダーが独自に実施した建て主400人へのアンケートから、「沈黙の不満」の実態を探る。

特集
建て主400人アンケート「沈黙の不満」
目次
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“情報中毒”の建て主が増加
日経ホームビルダーが実施した調査では、住宅会社に不満を抱いたことがある建て主は、ここ数年、増加傾向にあった。コロナ禍も影響して変わる「今どきの建て主」に、住宅会社はどのように向き合えばよいのか。
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工務店には本音を伝えづらい
不満を抱いた建て主の過半が、不満を建築依頼先に伝えていない。そうした建て主は本音を伝えなかったことを後悔する傾向が強いことが、改めて分かった。依頼先に不信感を抱いていた様子もうかがえる。
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調整力の無さが不愉快
住宅会社の窓口となる営業担当者への不満があっても、「許容できる程度」と判断して伝えない建て主が多い。実際には、調整力の無さを不愉快に感じているようだ。
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間取りや意匠に納得いかず
プラン・設計への不満は、伝えたことで対応が「少し良くなった」と捉える建て主が多い。間取りや意匠の不満があっても、予算や敷地など諸条件の制約を理由に伝えていないようだ。
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品質やコストでも妥協
設計監理・施工管理など施工段階で不満を抱いても、建て主の4割強は建築依頼先に伝えない──。調査結果からは「伝えても改善してもらえない」と諦めている建て主が多いことがうかがえる。
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メンテ情報の提供にも期待
アフターサービスの不満は、関係悪化を懸念して建築依頼先に伝えない建て主が他の種類の不満よりも多い。調査結果を見ると、トラブル対応やメンテナンス情報の提供などの不満が顕在化しにくいようだ。