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不満を抱いた建て主の過半が、不満を建築依頼先に伝えていない。そうした建て主は本音を伝えなかったことを後悔する傾向が強いことが、改めて分かった。依頼先に不信感を抱いていた様子もうかがえる。

 調査概要
  • 調査対象:国内に住む20歳以上、かつ、およそ5年以内(2016年以降)に注文住宅を新築し、家づくりや居住後の住宅管理などで建築依頼先に不満を抱いた人を対象にした
  • 調査方法:インターネット調査。調査会社はマクロミル
  • 調査期間:2020年12月9日~10日
  • 回答件数:有効回答数は、事前調査が2919、本調査が412
  • 主な回答者属性:男性が62.4%、女性が37.6%。年齢は、20歳代が21.6%、30歳代が44.9%、40歳代が18.7%、50歳代が6.6%、60歳以上が8.3%

 「クレームは宝の山」とよくいわれる。不満を抱いた建て主が、不満をクレームとして住宅会社にぶつけてくれれば、その対応を通じて住宅会社は技術力や対応力を高められる。素早く適切に対応することによって、むしろ建て主との信頼関係が強まるチャンスにもなり得る。

 逆に、建て主が不満を胸の内にしまい込んで住宅会社に伝えなければ、住宅会社はそうした機会を失うことになる。不満を解消できていない建て主からは紹介客も見込みにくいだろう。建て主の「沈黙の不満」をいかに減らすかは、住宅会社にとって技術・経営の両面で重要だ。

 日経ホームビルダーでは、およそ5年以内(2016年以降)に戸建ての注文住宅を新築し、家づくりや居住後の住宅管理などで建築依頼先に不満を抱いた経験のある建て主412人を対象に、アンケート調査を実施。「沈黙の不満」の実態を探った。

 回答者の属性は、男性が62.4%、女性が37.6%。年齢層は、20歳代が21.6%、30歳代が44.9%、40歳代が18.7%、50歳代が6.6%、60歳以上が8.3%だった。30歳代の割合が半数近くに上った。

高額だと伝える傾向が強い

 まずは、「沈黙の不満」がどれくらい潜んでいるのかを見ていこう。

 「不満を建築依頼先に伝えたか?」と尋ねたところ、不満を抱いた建て主の52.6%が「全く伝えていない」もしくは「一部しか伝えていない」と回答。過半が不満を胸の内にしまい込んでいた〔図1〕。

〔図1〕家づくりや居住後の住宅管理などの際に抱いた不満について、建築依頼先に伝えたかを尋ねた(資料:日経ホームビルダー)
〔図1〕家づくりや居住後の住宅管理などの際に抱いた不満について、建築依頼先に伝えたかを尋ねた(資料:日経ホームビルダー)
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 依頼先別に見ると、不満を伝える割合に差が出た。「地域展開の住宅会社・工務店」に依頼した建て主は伝えていない割合が計61.0%と、他の依頼先に比べて高く、「不満を伝えづらい」と感じている人が多いようだ。最も低い「設計事務所」の計23.1%と比べると約2.6倍も多い〔図2〕。

〔図2〕依頼先別、建設費別、新築時期別に、図1の「不満を建築依頼先に伝えたか」と尋ねた回答をまとめた。「全く伝えていない」と「一部しか伝えていない」を合計した「伝えていない」割合を見ると、依頼先別では「地域展開の住宅会社・工務店」、建設費別では「2000万円以上3000万円未満」、新築時期別では「2018年に新築」がそれぞれ最も多い(資料:日経ホームビルダー)
〔図2〕依頼先別、建設費別、新築時期別に、図1の「不満を建築依頼先に伝えたか」と尋ねた回答をまとめた。「全く伝えていない」と「一部しか伝えていない」を合計した「伝えていない」割合を見ると、依頼先別では「地域展開の住宅会社・工務店」、建設費別では「2000万円以上3000万円未満」、新築時期別では「2018年に新築」がそれぞれ最も多い(資料:日経ホームビルダー)
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 建設費別で見ると、高額な住宅の建て主は建築依頼先に不満を伝える傾向が強かった。「2000万円未満」と「2000万円以上3000万円未満」では傾向がほぼ変わらないが、より高額な「3000万円以上」だと計51.7%が不満を伝えたと回答した。

 新築時期別では、直近2年で不満を伝えた建て主の割合が目立って増えている。16年に計57.4%だったのが、18年には計37.7%まで低下。そこから19年に計45.1%、20年に計51.4%と増加へ転じた。依然、半数近くが不満を伝えていない状況だ。