昨今の洪水被害の激甚化を受け、水害対策のハードルが上がっている。ハザードマップの改定で、想定浸水深が2mを超える地域が各地で続出。さらに宅建業法も改正され、宅地が浸水想定区域に含まれる場合、それを重要事項説明に含めることが義務化された。もはや、洪水リスクを隠して家を売ることは許されない。水害に強い家づくりに加え、洪水リスクを正確に顧客に伝える必要がある。今後、耐水害は耐震、耐風と並ぶ災害対策の3本柱になる。

特集
待ったなしの水害対策
耐震、耐風と並ぶ3本目の柱に
目次
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浮かせていなす技あり制御
一条工務店が耐水害住宅に積極的に取り組んでいる。国の研究機関、防災科学技術研究所と共同で実大実験を実施。浸水深3mの洪水にも耐えられる住宅を開発した。開発と改良の経緯を紹介する。
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浸水制御の体系化を急げ
2019年10月の台風19号で、木造住宅がベタ基礎ごと浮いて流される被害が長野市で続出しました。田村さんはいち早くこの問題を指摘されましたね。どのような経緯で事実を知ったのですか。
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1階で溺死多数の理由とは
2018年7月に発生した西日本豪雨では、住宅の1階で溺死した人が相次いだ。なぜ2階に避難できなかったのか──。水理学の専門家が再現した住宅実験で、その理由が明らかになった。
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2階に居れば救えた命がある
西日本豪雨の被災者の浸水被害状況を再現した実験は衝撃的でした。犠牲者がなぜ2階に上がれず1階で溺死したのか、視覚的によく理解できました。
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内水氾濫にどう備える?
住宅の浸水棟数は、河川決壊などによる「外水氾濫」よりも、排水インフラの能力を超えて地表にあふれる「内水氾濫」によるものが多い。特に都市部でその傾向が強い。住宅実務者にできることはあるか。