改正建築物省エネ法に基づく「説明義務制度」が2021年4月にスタートする。こうした動向を背景に、省エネ建築への社会的ニーズは一層の高まりを期待できる。地域の中小工務店や設計事務所が、高断熱・高気密性能の木造戸建て住宅だけでなく、さらに踏み出して「省エネノウハウ」を受注拡大に生かす動きも、既に活発だ。戸建て住宅以外に仕事の幅を着実に広げている3者の事例を紹介する。

特集
省エネノウハウで受注の幅拡大
目次
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家づくりの延長で木造のZEBに挑戦
NPOこどもサポート・みんなのおうち(熊本県大津町)
7寸(210mm)角の大黒柱に、アカマツの床。木をふんだんに使った木造の保育園が2020年9月に完成した。熊本県大津町のNPO法人「NPOこどもサポート・みんなのおうち」だ。平屋建ての建物には、3歳未満の児童を対象とする小規模保育園と運営者である同法人の事務所が入る。
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高い温熱性能で長く住み続けてもらう
パティオ獅子ヶ谷(横浜市)
「木造賃貸アパートは、多くの人にとって『自分で選ぶ初めての住宅』になる。そうした住宅の高断熱・高気密化を図り、快適な環境を体感してもらえるようにしたい」。2020年9月に完成した「パティオ獅子ヶ谷」は、設計したスタジオA建築設計事務所(東京都港区)の内山章代表の意欲が結実したアパートだ。
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民宿を省エネ改修し「心地良い空気感」に
haluta hakuba(長野県白馬村)
白く塗装した内装に、北欧のビンテージ家具がゆったりと並ぶ。2019年12月に開業した複合宿泊施設「haluta hakuba」の室内は、凛(りん)とした雰囲気を漂わせている。同時に、写真では見えない特徴もある。例えば冬でもほんのり体を温める穏やかな“空気感”だ。